なぜか佐藤隆太がいっぱい出てくる映画。
2005年。アンジェイ・バートコウィアク監督。ザ・ロック、カール・アーバン、ロザムンド・パイク。
考古学と遺伝子に関する研究が行われている火星の研究所で、研究員たちとの連絡が途絶える事態が発生。海兵隊RTTS(緊急対応戦略部隊)に所属するサージ、リーパーら精鋭8人が火星へ赴き、研究所に潜入する。しかし、そこで彼らが目にしたものは人間とは程遠い巨大なクリーチャーだった…。(Yahoo!映画より)
土曜日の夕刻。私はマンション暮らしなのだが、映画でも観てこましたろと思ってDVDの準備をしていたら部屋のインターホンが鳴った。
こういうときはだいたいNHKの人か宗教の人なので当然無視する。仮にそうじゃなかったとしても私に用がある人間なんているはずがないし、たとえ用があったとしても土曜日の夕刻なんかに来んな。私のハッピータイムは何者も邪魔できない。
そしたらまたインターホンが鳴った。2回鳴らすってことはよっぽど大事な用事なのだろうか。役所関係の人かな。もしかしてゲシュタポ? でも勇敢に無視。
そしたら3度目のインターホンが鳴った。
…ッジャオラ!(なんじゃオラ)と思い、観念して受話器を取りました。
すると向こうが「あれ? ん? あれ? ぽよ? ん? 繋がってる? あげ? ぽよ? んぽ? ゲシュ? タポ?」などとわけのわからぬ呪文をずっと呟いていたので黙って受話器を戻しました。コンタクト終了。
ありがとう、話せてよかったよ。
いったい何だったんだろうと思い、それから2時間後に買い物にいこうと思って部屋を出たら、外側のドアノブに紙袋が掛けられていた。中を見てみたら滋賀県産の米が入っていた。
「はじめまして。この度○○○号室へ引っ越してきました森田と申します。今後ともよろしくお願いいたします」というメッセージ付きで。
インターホン押したの絶対森田やん。
解けたぞ、このミステリー。滋賀の森田やん。犯人。
そうか、森田は私に近所挨拶するためにわざわざインターホンを鳴らしてくれたのか。
伏線回収していきよったなー。森田のくせに。
それなのに私はゲシュタポと勘違いしたりジャオラと思うなどして非礼な態度をとってしまった。申し訳ないことをした。すまんかった森田(でもあの呪文は何だったんだろう)。
思えば私も今のマンションに越してきたとき、お隣さんにお菓子を配ろうと思って近所挨拶したのだけど、誰もインターホンに出てくれなかった。森田みたいにお菓子を袋に入れてドアノブに掛けてもよかったのだが、腹が立ったので自分で食べた。
最近そういう人が多いらしいですね。誰とも関わりたくないから挨拶しない人とか挨拶されても無視する人とか。ディスコミュニケーションの権化どもがァァァァァァァァ。
でも、まさか私自身がそうなってしまうとは。大いに反省せねばなりません。とりあえずジャオラは封印すべきだろう。インターホンが鳴っても「なんっ…ジャオラ!」と思わず、どんどん受話器に出たいと思います。森田のようなナイスな奴と出会えるかもしれないからね!
というわけで本日は『DOOM ドゥーム』です。また一段と密度なきレビューを書いてしまいました。マジで内容カッスカスですが、そのぶん前書きをがんばったのでチャラにしてください。
◆超豪華キャスト(半笑い)◆
火星の研究所で大量殺戮事件が起きたというので凄腕の海兵隊8名が研究所に向かう。
チームを率いるのはロック様なので何が出てきても怖くない。この時点で観る者は安堵する。部下たちも大船に乗ったつもり…というより戦艦に乗ったつもりでいる。
ロック様が出てきた時点ですでにハッピーエンドは約束されてるというか、ロック様自身が歩くハッピーエンドなのである。
そんなロック様にちょこちょこ付いていくメンバーがカール・アーバン。ハンサムだけど主役格ではなく、どこか垢抜けない俳優だ。たいていの映画で二番手か三番手ばかり演じている助演の鬼。
ロック様(右)とカール・アーバン(左)。
メンバーの中で飛びぬけて強そうな雰囲気を醸しているのがベン・ダニエルズである。
最後まで生き残ることはないけど相当活躍するキャラという感じ。最終的に死ぬっちゃ死ぬけど敵に致命傷を与えて死ぬという、モンスター映画に必ず一人はいる健闘士だ。
ていうか若干ラッセル・クロウに似ている。
逆に、チームの中で見た目最弱なのがヤオ・チンという中国系のメンバー。
見るからに頼り甲斐がなく、はっきり言ってめちゃめちゃ弱そうである。すぐ泣きそう。
目ぇ垂れた佐藤隆太やないか。
目ぇ垂れて顔パンパンなって元気という元気が奪い尽くされた佐藤隆太やん、これ。
しかもなぜか日本人という設定で、フルネームがすごいのです。
カツヒコ・クマノスケ・タカハシですからね。名前が玉突き事故おこしてますけど。
ちなみに火星の研究所に勤務するナビゲーター役がデクスター・フレッチャー。
あかん。こいつも佐藤隆太に見えてきた。
もちろん顔はぜんぜん似てないけど、輪郭とか髪型がよう似たあるわ。
ていうかこの映画…佐藤隆太いすぎじゃない? 一人目のあいつに引っ張られてるだけかなぁ…。もう名前忘れたわ。カツヒコ・タカノハナ・ヨコヅナだっけ。そんな感じでしょ、どうせ。
さらには『ゴーン・ガール』(14年)で頭角を現す前のロザムンド・パイクが紅一点の女性博士役として登場する。美人というより綺麗ですよね、この人。
ようやくまともな役者が出てきました。
このような超豪華キャストでお送りする『DOOM ドゥーム』。
監督のアンジェイ・バートコウィアクは、ジェット・リーの『ロミオ・マスト・ダイ』(00年)やスティーヴン・セガールの『DENGEKI 電撃』(01年)といったなんとも言えないアクション映画を手掛けてきた人である。
現時点で最後の監督作は『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』(09年)だが、興行的にも批評的にも大爆死したので多分干されたものと思われる。
なんて悲しいんだ。
◆せっかく軍事訓練したのに一方的に瞬殺されゆく隊員たち◆
さて、本作は8人の海兵隊が研究所内に潜む「何か」と戦うという、まぁ言ってしまえば『エイリアン2』(86年)と『ゾンビ』(78年)のいいとこ取りをしたような密室SFホラーアクション佐藤大作なのである。
海兵隊を演じた8人の役者は撮影にあたって3ヶ月もの軍事訓練を受講したらしいので、さぞ素晴らしいアクションを見せてくれるに違いない。
ところが、新人メンバーのアル・ウィーバーは緊張をほぐすためにクスリをやってハイになるわ、ラッセル・クロウは音を出しちゃいけない状況でドラム缶を思いきり蹴り倒してものすごい音を立てるわ…と揃いも揃ってバカタレばかり。
皮肉屋のリチャード・ブレイクに至っては敵の気配を感じてさぁ攻め込むぞというタイミングで急にうんこしに行くからね。
ダメだこいつら。アテにならない。とんだひょうろく玉だ。
案の定バケモノの不意打ちを喰らって瞬く間に惨殺されていく隊員たち。ラッセル・クロウも佐藤一号も佐藤二号も殺されてしまった。
こいつに↓
こわ(笑)
ていうかさ…。
軍事訓練した意味なくない?
撮影にあたって8人の俳優がかなり厳しい軍事訓練を3ヶ月も受講したわりにはその成果を発揮することなく、戦闘の機会すら与えられぬまま一方的に不意打ちを喰らって殺されてしまうのだ。
受講した意味ねぇー。3ヶ月もなにを訓練することがあったん。この体たらくで。
ちなみにうんこしに行って殺されただけのリチャード・ブレイクが誰よりも訓練に精を出していたそうです(泣けてくる)。
ちなみに本作は同名のFPSゲーム(一人称シューティングゲーム)を映画化した作品なので、カール・アーバンが押し寄せる敵を撃ちまくるクライマックスでいきなりPOV方式(一人称)になります。
いやいやいやいや…。
ゲームやん。
それをやらずに原作ゲームの世界観とかおもしろさを映画的手法で表現するからこその映画化なのに、それをやっちゃうと「こんなゲーム映像を見せられるぐらいなら実際にゲームするよ!」って話になっちゃうよ。なんでゲームと同じことしたん?
バカなの? 死ぬの? 狙うの? 撃つの?
こういう画面が10分ぐらい続きます。ゲームやん。
◆なにをいってるかぜんぜんわからない◆
そんなわけで もう…ぐっちゃぐちゃでしたわ。
ちなみに隊員を襲った敵はエイリアンの類ではなく、人体実験で24番目の遺伝子「C24」を体内にぶち込まれて怪物になってしまった元人間だったようで。中盤では『遊星からの物体X』(82年)のような誰が感染してるのかサスペンスが展開するかと思いきや、いかんせんロック様は怪しい人間を片っ端から撃ち殺していくという脳筋リーダーなのでサスペンスもヘチマもない。
ロック様はかなり問題のあるリーダーで、かなりヤバい状況下で「応援を呼ぶべきですよ!」と部下に言われても「応援は呼ばない。ていうか俺たちがその応援だ」とかロジックぐちゃぐちゃなことを言って8人だけでどうにかしようとする。なんで?
唯一よかった点と言えば、ロック様が任務遂行のためなら味方を殺すことも厭わないサイコキャラだったという意外性で、生き残ったカール・アーバンとやがて敵対することになる。したがって本当の主人公はカール・アーバンだったという主演逆転現象が起きるのです。
ロック様といえば不屈のヒーローを絵に描いたような役が多いので今となっては考えられない配役だが、この当時はまだ駆け出し俳優だったから、こういう善玉と思わせて実は悪玉だったという騙し討ちが(遡及的に)成立するのである。
ところが、腹を撃たれたカール・アーバンが瀕死状態だというので、博士のロザムンド・パイクがC24を注射しようとしてこんなことを言う。
博士「本来ならこれはヒトを怪物にする薬だけど、いい人間に打てば超人になれるのよ!」
なにをいってるかぜんぜんわからない。
こんなに納得できない説明も珍しい。いい人間に打てば超人になる?
そしてわけがわからぬままカール・アーバンが覚醒して、同じくC24を自分に打って超人化したロック様とシバき合いをする…というのがクライマックスでございます。
もはや研究所に潜む「何か」…とか完全にどうでもよくなっている。ただの内輪揉めっていうか、部下と上司の大喧嘩だよね、これ。
こわ(笑)
『エイリアン2』、『ゾンビ』、『遊星からの物体X』と来て、最後は筋肉映画に着地するという仕上がり。
救いようのないバカ映画だけど、ラッセル・クロウと佐藤隆太が出演しているので豪華キャストを楽しむだけでもお釣りが返ってくる密室SF佐藤ホラー筋肉アクション注射映画です。
ジャンルの玉突き事故がすごい。