シネマ一刀両断

面白い映画は手放しに褒めちぎり、くだらない映画はメタメタにけなす! 歯に衣着せぬハートフル本音映画評!

劇場版ポケットモンスター みんなの物語

動物虐待、テロリズム、自然災害…。なんでもアリのディストピア!

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2018年。矢嶋哲生監督。アニメーション作品。

 

1年に一度の祭りでルギアから恵みの風がもたらされる街フウラシティを舞台に、新しい仲間たちとの物語が紡がれる。1年に一度の風祭りの最終日に、ルギアからの恵みの風がもらえるというフラウシティ。偶然、祭りに参加していたサトシとピカチュウは、リサ、カガチ、トリト、ヒスイ、ラルゴという5人の仲間と出会う。それぞれが悩みを抱え、パートナーのポケモンと一歩を踏み出せずにいる5人との出会いが、運命の歯車を回し始める。(映画.comより)


ハイ、今日もポケットモンスターですねー。

『キミにきめた!』が予想外に楽しかったので(斜に構えて観る分には楽しいという意味です)ついこっちにも手を出してしまったよねー。

映画が好きでこのブログに遊びに来てくれてる方々の期待を裏切ってやまない身振りでございます。どうもおはようございます。

けっこう長い記事なので、前置きはこの辺で。

 そんなわけで『劇場版ポケットモンスター みんなの物語』

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◆恵みの風を送る意味がわからん◆

前年公開の『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』(17年)の続編に当たるのでしょうか。よくわからない。どうでもいい。

今作にはルギアという伝説のポケモンが登場するが、これも大変どうでもいい。伝説ポケモンは対人戦で使用禁止されているし、たとえ使えても元々強いポケモンで勝ったところでまったく嬉しくないので、私は伝説ポケモンに興味がない。捕まえたりもしない。むしろ出会いがしらに張っ倒す。

これを知ったポケ友達らは「倒したの? もったいな~」と言って私をバカ扱いするが、甘いねっ、みんなが欲しがる「レアなもの」に見向きもしないという孤高の天邪鬼精神、それがオレの生き方だ。私はコンパンにマスターボールを投げるような男だからね。

コンパン…下等な害虫ポケモン。


そんなわけでこの映画。副題に『みんなの物語』とあるように、出しゃばることだけが取り柄のサトシ&ピカチュウが珍しく一歩引いてさまざまなキャラクターにスポットを当てた群像劇になっているのが特徴である。

人とポケモンが風とともに暮らす街「フウラシティ」で年に一度おこなわれる「風祭り」をメインとしたストーリーがダラダラ描かれる充実の97分だ。

風祭りでは人とポケモンが運動会みたいなことをやったりアイスクリームを舐めるなどして楽しいひと時を過ごし、祭りの最終日にルギア(風の神)が現れて恵みの風を送るというよくわからない恒例行事があるらしい。

フウラシティには常に気持ちのよい風が吹いていて、それを風力発電に利用することで発展してきた街である。べつにルギアから恵みの風なんか送ってもらわなくてもいいのでは?

だから「風祭り」の存在意義とか「恵みの風を送る」ことの意味がまったくわからないのだが…まぁ気にせずにおく。

そんなフウラシティにやって来たのがサトシだ。相変わらず「ポケモンマスターになりたいぜ」などと没理論なことを言いながらこの地を訪れたサトシは、相棒のピカチュウとともに「風祭り」への参加意欲を露わにする。

ちなみに、前作ラストでなぜか人語を発したピカチュウは再び鳴き声しか出せないようになっていた。それに前作のサトシは酷いトレーナーに捨てられたヒトカゲを雇用してリザードンまで進化させたのに、本作では一度もリザードンが登場しないことから解雇された可能性が高い。

サトシ、おまえ…。


やはりサトシは好きになれない。

フウラシティの一角でレモネード売りの少年3人組が大量のレモンを積んだ荷車を引いていると、急に路地裏から飛び出してきた少女が荷車にぶつかってレモンをぶちまけてしまう。腹を立てる少年たちに「ごめんなさい…。でも今ちょっと急いでるから!」と言った少女は、自分がぶちまけたレモンを拾おうともせずにその場を立ち去ろうとする。怒った少年は少女に向かってレモンを投げつけたが、それをキャッチしたのがサトシ。

「喧嘩するな!」と一喝したサトシはピカチュウを使って少年たちにお仕置きするのだが…いやいや、どちらかと言えば少女の方が悪いよね。

たしかにレモンを投げつけた少年はよくないけど、自分がぶちまけたレモンを拾おうともせずにその場を立ち去ろうとする少女はもっとよくないだろ。むしろ少年たちは被害者だよ!

おそらく一部始終に立ち会っていないサトシは、「少年がレモンを投げた」という事実と「3人の男の子がか弱い女の子を虐めてる」という先入観だけで少年サイドを悪と決めつけたのだろう。当事者でない人間が首を突っ込むからには、まずは双方の主張を聞いたうえで客観的に判断してほしい。

すぐにピカチュウをけしかけるんじゃないよ!

電気仕掛けの悪魔か、おまえは。

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すぐにピカチュウをけしかけて問題解決を図ろうとするサトシ。


動物虐待、テロリズム、自然災害◆

サトシのほかにも多くの人民がフウラシティにやって来て「風祭り」への参加意欲を剥きだしにしていた。なんぼほど楽しい祭りなのか。

会場にはさまざまなアトラクションや飲食店が並んでおり、みなが随意に射的やアスレチックを楽しんだりアイスクリームをうまうま舐めたりしている。これが「風祭り」の全貌である。

たしかに楽しそうっちゃあ楽しそうだけど…風関係なくない?

「風祭り」だっつってんだから風を使った催しものをすればいいのに。「スカートめくり大会」とか「地獄の向かい風レース」とかさ。

あと、私が提案したいのが「民家全焼ゲーム」ね。

火を放った民家に風を送って全焼させよう、というこの街ならではのゲーム。飛行ポケモンや炎ポケモンたちと協力して火力や風向きをコントロールしながら誰よりも早く家を焼き払うのである(もちろん人は焼かないよ)。

そしてこのシーンでこそリザードンを出すべきだった。

サトシとリザードンの絆を描くためにも「民家全焼ゲーム」は必須だったと言えるでしょう。

ていうかマジであの後どうなったんだよ、リザードン…。


「民家全焼ゲーム」の代わりに描かれているのが「ポケモンゲットレース」という催しもので、これがどうしようもないほど下らないんだ。

参加者は専用のモンスターボールを使って街中に放たれた様々なポケモンをゲットしながら指定のコースを走るというもの。ゲットしたポケモンの数や種類に応じてポイントが加算され、レース終了までに獲得した合計ポイントで優勝者を決めるという風祭り恒例のイベントである。

街に放たれたポケモンたちは、たかがゲームのためにトレーナーから追い回され、痛めつけられ、捕獲されてしまう。

パニックを起こして街中で暴走したバンギラスは、サトシのピカチュウから「10万ボルト」や「アイアンテール」で滅多打ちにされた挙げ句、再起不能になってブッ倒れたところを「大丈夫かい? もう心配ないよ」といってサトシに抱き起こされ、その様子を巨大モニターで見ていた祭りの参加者たちは「バンギラスと少年の友情に感動だぁ!」とか言って拍手喝采すんの。

友情じゃなくて動物虐待ね。

欺瞞がすげえわ。

それに比べて「民家全焼ゲーム」はどうですか? ってことですよ。誰も傷つけることなく人とポケモンの連帯や友情を確認できる素晴らしいイベントとは言えまいか。デメリットといえば勝手に家を焼かれた土地の所有者がぷりぷり怒るぐらいでしょう。


そんな折、ロケット団が研究所から盗みだした謎のカプセルから毒ガスが噴き出すという緊急事態が発生。瞬く間にフウラシティ全域が毒の霧に覆われてしまい、この毒に触れた者は全身がシビれてグッタリしてしまうのである。

もうテロじゃん。

ロケット団のムサシ&コジロウといえば毎回セコい悪事に失敗しては「ヤな感じー!」と言いながら逃げていく…といった憎めないキャラクターなのに…遂にテロをやりやがったよ毒霧拡散って、シャレにならんぞコレ。

おまけに山火事まで起こるからね。もうやってることディザスター映画だよ。

そんなわけで、物語のクライマックスではサトシが風祭りで出会った人々と協力して自然災害の収拾にあたる…という決死の救助活動が描かれる。ポケモン関係ねー。

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ロケット団のムサシ、コジロウ、ニャース。愛すべき小悪党だったが遂にテロリストとなる。


◆みんなの物語やで◆

ここから批評に移ります。

面倒臭いので触れなかったがサトシ以外にも5人の主要キャラクターがそれぞれの目的を持って動いているわけだが、計6人分のエピソードが細かくカットバックされるので遅々として話が動かないというか…映画が始まって1時間経った頃にようやく話の全体像が見えてくるという冗長極まりないプロットで。

もともと群像劇にメインストーリーというものは存在しない。小さなサブストーリーを繋げて円を形作っていくものだからだ。

だが本作はポケモン研究者のトリトが開発したカプセルをめぐる攻防をメインストーリーに据えつつ、その脇で6人分のサブストーリーをちょこちょこ描いているので群像劇としてかなり薄味なうえにメインストーリーが非常に呑み込みづらい(細かいカットバックで寸断されちゃうため)。

トリトの研究発表会までにずいぶん尺を取ってるけど何の研究について発表するのかについてはイマイチよく分からなかったり、ロケット団がカプセルに目をつけた動機やそれを紛失する過程もかなり恣意的で…誰が何をしたからこうなってるの? といった全体の状況が全然わかんねえ。そもそも「風祭り」ってNANI?

また、ゼラオラという幻のポケモンとの交流を通して環境破壊をする人間の愚かさみたいな説教臭いメッセージが打ち出されるが、もともと『ポケモン』って性善説に基づいた世界観なのでそういうメッセージ性を打ち出そうとすればするほどハナシが薄っぺらくなってしまうんだよな。

かつてはゼラオラを捕まえようとするトレーナーが山を荒らし回っていたけど、今回の山火事をみんなで解決したことでもう誰もゼラオラを捕まえようとしなくなりました…って。なんで。美談の因果関係がさっぱりわかんねえ。


これまでのポケモン映画との決定的な違いはバトル主体ではないということだろうか(ほぼ観てないから知らんけど)。

『みんなの物語』とあるように、あくまで「人とポケモンの繋がり」をコンセプトにしたドラマ主体の作品に仕上がっていて。だからポケモンバトルがおこなわれるのも劇中でたった一回だけ。

そこで描かれるドラマには欺瞞を感じる点もいくつかあるが、主要キャラがそれぞれの悩みを克服しながら仲間とともに救助活動にあたる…という大筋の部分は思いのほかエモーショナルでなかなか良かったのですよ。少なくとも前作の流れを踏まえて「今のポケモンが掲げている新たなヴィジョン」は明確に伝わったと思う

サトシがただの木偶の棒としてほとんど活躍しない点も好感を持てる。

~今回サトシがした事リスト~

・ピカチュウをけしかけて児童らを痛めつける。

・ピカチュウをけしかけてバンギラスを痛めつける。

・ピカチュウをけしかけてゼラオラを痛めつける。

・散々痛めつけたゼラオラに「友達になろうぜ!」と連呼する(誰がなるかいな)。

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「風祭り」で出会った仲間たち。


そしてMVPはリサとイーブイに捧げられます。

ポケモン初心者のリサは入院中の弟からイーブイのゲットを頼まれてフウラシティを訪れた女子高生(太ももがとてつもなくムチムチしている)。

リサは足を怪我して陸上部を辞めてしまい、完治した今でもトラウマを引きずって走ることができないという、まるで『恋は雨上がりのように』のヒロインを彷彿させるキャラクターである。ちなみに弟の入院理由は右足骨折。足が呪われた家系なのだろうか。

そんな彼女がサトシのサポートを得ながらイーブイを見事ゲット。初めて手にしたポケモンと信頼関係を築き、やがて今しかないというタイミングでトラウマを克服して走り出すさまはとても感動的です。

なんといってもイーブイが超かわいい。ピカチュウなんかより断然イーブイやで!

もっとも、リサは弟の代理でイーブイをゲットしただけなので、どれだけイーブイと信頼関係を築こうが家に帰ったら弟に渡さなきゃいけなくなるんだけどね。無常。


なお、「風」をモチーフにしたアニメーションなので「何かしら風の演出ぐらいはあるだろう」と思っていたが、さすがポケモン映画。期待は裏切らない。

なかった。

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リサとイーブイ。

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokémon (C)2018 ピカチュウプロジェクト

 

 

お気に入りポケモンご紹介コーナー

昨日に引き続き、私がよく使っていたお気に入りポケモンを選んでみました。

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斬り込み隊長なのに生存率が高い ロトム(ヒートフォルム)

特出した何かがあるわけではないがトータリティは高く戦術も豊富。とりわけヒートフォルムは耐性がヤケに多く、「ボルトチェンジ」で逃げ撃ちもできるのでしぶとく生き延びながら場を引っ掻きまわしてくれる優秀な子。先発安定です。たっぷり生きるよ。

基本的には拘りスカーフで素早さを底上げした状態で「オーバーヒート」をブチかまして様子見から始まるが、相手が受けポケモンなら「トリック」で拘りスカーフを押しつけたり、不利な対面では「ボルトチェンジ」でさっさと逃げたり…など柔軟に立ち回れる。見た目もかわいい。

ただしやたらに「トリック」を連発すると要らんものを貰ってしまう。性病のようにね。

 

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厨ポケ狩り代表 パルシェン。ニックネームは「パールジャム」。名前の由来はシアトルのロックバンド、パール・ジャム。

「殻を破る」からの「つららばり」or「ロックブラスト」というテンプレ型。バグレベルの強さ。画像では持ち物ナシになっているけど、もちろん気合いの襷を持たせてます。

特性「スキルリンク」によって2~5回当たる攻撃が必ず5回当たるので第四世代から猛威を振るってきたボーマンダや「化けの皮」が鬱陶しいミミッキュをサクッと狩れるのが最大の強味。育成をかなりミスってて、本来であれば両刀型にして「氷のつぶて」の代わりに「波乗り」あたりを入れるべきでした。

ちなみにこのパルシェンを使っている理由は鬼性能だからというよりも色違いだから。ポケモンを20年もやっていて色違いが生まれたのって初めてなんですよ(4096分の1)。

せっかくの色違いなのに元のカラーとほとんど変わってないのが無念千万。

 

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ドラゴン最弱の汚名返上 フライゴン。ニックネームは「ジェフベック」。名前の由来は世界三大ギタリストでお馴染みのジェフ・ベック。

第七世代でようやく取得した「竜の舞い」をフル活用しようとしてなりふり構わず高火力技を突っ込んだ技構成となっております。同じく「竜の舞い」を使えるボーマンダの劣化でしかないのは認める。唯一差別化できている「馬鹿力」も打つ相手がいないし…。

だけど僕は弱いポケモンの方が好きです!

強いポケモンで勝つより弱いポケモンで勝った方が嬉しさ2倍なんだ。

がんばれフライゴン。見た目の可愛さではボーマンダに勝ってるぞ。

 

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俺をヒヤヒヤさせるギャンブラードラピオン。ニックネームは「うんまかせ」。

「ツボを突く」は攻撃、防御、特攻、特防、素早さ、命中率、回避率のどれか1つが2段階上がるという技で、Z技でこれを使うと急所率が2段階上がるというオマケがつく。

そしてメインウェポンの「クロスポイズン」と「辻斬り」は急所率+1の技で、コイツの特性「スナイパー」は技を急所に当てたときに威力が2.25倍になるというもの。

つまり急所に当てやすくすることに特化した型で、急所に当ててくれさえすれば大ダメージが期待できるのである。

また「ツボを突く」によってどこかの能力が2段階上昇するので、もし攻撃が上がれば急所に当てなくても相当な火力が出るし、回避率が上がれば相手の攻撃をかわして行動回数が稼げるというわけだ。もう完全に運任せ。

 

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鉄壁の清掃員 ボスゴドラ。ニックネームは「メタリカ」。名前の由来は世界的メタルバンドのメタリカ。

メガシンカすると岩タイプが抜けて鋼単体となり、防御種族値が230に跳ね上がることで防御に努力値を振らずともガブリアスの「地震」を3発耐えるという鬼の要塞と化す。物理攻撃でコイツを突破するのはほぼ不可能。

攻撃種族値も140まで上がるので多彩な技で圧力をかけていける。試合終盤あたりで出すとスムーズに残党処理してくれる隠し球エースだ。相手の手持ちに炎ポケモンがいたらあえてメガシンカしないことで炎を等倍ダメージに抑えながら「地震」で押していける。

私は「殲滅力より防御力」という考え方で、耐久性能の高いポケモンが大好きなんですよ。死なない奴は強い。