シネマ一刀両断

面白い映画は手放しに褒めちぎり、くだらない映画はメタメタにけなす! 歯に衣着せぬハートフル本音映画評!

マイ・プレシャス・リスト

全オタク女子必見の映画だわよっ!

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2016年。スーザン・ジョンソン監督。ベル・パウリー、ガブリエル・バーン、ネイサン・レイン。

 

ニューヨーク、マンハッタン。IQ185を誇り、ハーバード大学を飛び級で卒業したキャリーは、仕事に就かず、友人も作らず、ただただ本を読んでばかりの毎日を過ごしていた。ある日、唯一の話し相手であるセラピストのペトロフからリストを渡され、記された六つの課題を実行するようにと言われる。キャリーは、金魚を飼い、好きだったチェリーソーダを飲み、新聞の出会い広告でデートの相手を探すといった課題をこなしていく。(Yahoo!映画より)

 

おはようございます。

最近スパゲティばっかり茹でてます。これまでの私はペペロンチーノの申し子かってぐらいコレ一択だったのですが、最近になってようやく目覚めたのは、そう、たらこスパゲティ。

そういえば10年ぐらい前に「たらこ、たらこ」と言ってCMで踊っていた二人組の少女がいましたよね。まだ生きてるのでしょうか。最近になってようやく彼女たちの気持ちが分かったというか「たらこも捨てたもんじゃないよね」ってマインドになってます。前置きがどんどんテキトーになってます。

さて。本日取り上げる映画は『マイ・プレシャス・リスト』ですが、ちょっと体調がすぐれないのである人に代理レビューを頼んでおります。

したがって本稿は私が書いたレビューではありません。もし拙い評だったとしても私のせいではありません。だって私が書いた文章じゃないんだからぁ。

それではバトンタッチです。あとは任せた!

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◆キャサリンだわよ!◆

ハァーイ、皆さん。初めまして。今日はふかづめさんに代わって、私、キャサリン・キャサリン・ランデブーがお送りするわね~~。

皆さん『マイ・プレシャス・リスト』はもうご覧になられたかしら? なに、まだ観てない? 野郎~~。観てない奴はヒールで踏んづけちゃうんだから!

この映画はマンハッタンを舞台にした素敵なガールズムービーです♡

女子力を磨いているそこのアナタ! 乙女心にキョーミがあるそこの男子! 観なきゃ損、損、孫正義ってな具合だわよォォ~~~~。


あ。先に言っておくけど 最後までこういう感じでいくわよ? ホントだからね?

こっちだって伊達や酔狂でやってんじゃないのよ。ページを閉じるなら今しかないわよ、この虫けらっ。 あとでブー垂れても遅いんだからァ――ッ!

普段のふかづめさんの評論スタイルがどんな感じなのかは知らないけど、これがキャサリン流のやり方よ。誰にも邪魔させないわ。世界は私のモノよ。平伏せ。平伏したところをヒールで踏んづけちゃうんだから!

ああしんどい。一旦落ち着きましょう。汗かいちゃって化粧が崩れてきたわ。


はい、仕切り直すわね。

この映画は主演のベル・パウリーちゃんがすっっごくカワイイの♡ デビュー作の『ミニー・ゲッツの秘密』(15年)ではへちゃむくれな女の子だったけど、髪型とメイクだけでこんなに可愛く変身しちゃうんだから驚きよね。女子冥利に尽きるってもんだわよ。

ちょっとだけストーリーをご紹介しちゃうと、この映画は、天才だけど不器用な女の子がセラピストから渡された「幸せになるためのリスト」をひとつずつクリアしていく…っていうお話なの。

ここだけ聞いても、きっとアナタは「くだらねぇー」って思うでしょうね。すぐにそうやって物事を早合点して頭ごなしに否定しやがって、クソヤロー!

まだ大筋しか語ってもいねえのに「くだらない」と決めつけたオマエの感性の方がくだらないことに一刻も早く気づけェェ――——ッ!

まぁ、でも確かに「幸せになるためのリスト」をクリアしていくっていう大筋自体には特にこれといった魅力はないわね。ありきたりだし。叫んじゃってごめんなさいね。

でもこの映画はベルちゃんのキャラクターがすごくユニークで、見る人によってはトコトン共感できると思うわ。多分ふかづめさんにもばっちりハマるキャラクターじゃないかしら?

次の章ではベルちゃんについてガッツリ語っていくわよ~。

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主演のベルちゃんだわよ~。

 

◆自意識過剰の天才女!◆

ハァーイ、第二章ね。

映画評なんて初めてだからおっかなびっくり書いてるんだけど…ちょっとずつ要領が掴めてきたわ(まぁ、おっかなびっくり書いてる割にはよく騒いでる気もするけれど)。

この章ではヒロインのベルちゃんについて語っていくわよォォ―ウ。


イギリスで生まれ育ったベルちゃんはIQ185の天才少女なんだけど、幼いころに母親を亡くしてるの。その悲しみたるや推して知るべしって感じだわね。

娘の才能を持て余した父親(『ヘレディタリー 継承』で焼死したガブリエル・バーンが演じてるわよ!)は弱冠14歳のベルちゃんをハーバード大学に飛び級させてアメリカで一人暮らしさせるの。まったく…ムチャクチャってもんよね。まぁ父親からしたら、母を失ったベルちゃんの悲しみを払拭するためにアメリカの天才集団のなかで友達を作って欲しい…みたいな思いがあったんでしょうけど、それにしたって14歳の娘を外国で一人暮らしさせる親がどこの世界にいるっていうのよ!

しかも、あまりに天才すぎて周囲から変人扱いされたベルちゃんは、大学を卒業したあとに引きこもりになっちゃうの。週に17冊も本を読むような女の子にね。だから父親と仲のいいセラピストが親代わりになって、引きこもりのベルちゃんをどうにかするために「幸せリスト」を実行させるってわけ! わかった?


ベルちゃんは知識をひけらかすのが大好きな皮肉屋で、恋愛だのセックスだのにうつつを抜かしてる世間の奴らを完全に見下してんのよ。彼女にとっては知性こそがすべてで、唯一安らぎを得られるものが文学とか学術書のような「知の世界」。

でも根暗な性格じゃなくて、いちど口を開くと相手なんてお構いなしに一人でずっと話してるような娘なのよ。まぁ、一言でいえばオタクね。

だからカフェで自分の席に近づいてきたイケメンに「はい、ナンパならお断りですゥー。いまは誰かと話す気分じゃないの。まぁ、いつもそうなんだけどね。でも見たところアナタは感じのいい人みたいだし、どうか気を落とさないで。きっと良いヒト見つかるってば!」なんてベラベラ喋ってると、少し戸惑ったイケメンは「椅子を借りていい?」と言って、ベルちゃんのテーブルの余った椅子を自分のテーブルに持ってっちゃった。

恥ぁぁずかしいィィ――ッ!

これぞ赤面の至り。自意識過剰が招いた早とちりだと言わざるを得ないわねぇ~。

でもこれって根暗女子あるあるを含んでると思うのよ。イケメンに対してだけつっけんどんな態度になっちゃう娘っているじゃない? 「イケメンだからといって私が簡単になびくと思ったら大間違いだよ!」みたいなね。


イケメンだけじゃなくて、ベルちゃんは全ての人間に対して警戒心を抱いてんのよ。

彼女がこうなっちゃったのは大学時代の苦い失恋が原因なの。若いイケメンの教授から贔屓されたことでホの字になっちゃったベルちゃんは(おっと、今の子たちは「ホの字」なんて言わないか。ごめんあさァせ♡)、その教授とイケない恋をして処女を捧げるんだけど、ハイもう皆さんお気づき…その教授はウブな女生徒を片っ端からたぶらかすようなスケコマシだったのよォォォォッ!

決して生かしてなるものか! 断じて許してなるものか!

乙女の純情を弄ぶファッキン・プロフェッサー1号に死を!

おまけにベルちゃんは、亡き母の形見であるサリンジャーの『フラニーとゾーイー』の初版本をファッキン・プロフェッサー1号に借りパクまでされちゃうの!

パクるだけパクって しれっと去りンジャー。

返せっつうのよチクショォォォォ!!

もし私が同じ大学に通ってたら このくそったれチャーハン野郎のケツを蹴り上げてやるわよ。あーイライラする…。

もっとも、私にハーバード大に入れるほどのIQはないんだけどね。ごめんあさァせ!

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ベルちゃんと父親のガブリエル・バーンだわよ~。


◆わたし、推すわ!◆

ハァーイ、第三章ね。映画評って意外と誰にでも書けるのね。

でも紙幅がなくなってきたわ。まだ映画の冒頭しか語ってないのに。完全にペース配分間違えたわ。こんな難しいことを毎日のようにやっているふかづめさんってやっぱり天才ね、麒麟児ね、時代の寵児ねええええええ。ヒールで踏んづけちゃう!


まぁそんなわけで、ベルちゃんは「デートをする」とか「ペットを飼う」といったリストをひとつずつクリアしていくうちに色々な人と交流を重ねていくのね。外の世界に飛び出して友情を知り、恋をはじめる。何より胸を打つのは不仲だった父親との和解。本を取り返すために父と一緒にファッキン・プロフェッサー1号の家に殴り込みをかけるシーンなんて多幸感のオーガズムよ!

そうしたハートウォームな人間模様を彩るのはマンハッタンの活きた情景、とでも言えばいいかしら。マンハッタンってこんなに楽しい街なの!? って思うぐらい街がいろんな表情を見せんのよ。目で見て楽しい映画よね。

ほかにも、チェリーソーダにポラロイドカメラと可愛らしい小道具が満載。特に私のお気に入りは本の山をクリスマスツリーにしちゃうところね。

そうそう。ベルちゃんは「ペットを飼う」というリスト項目に従って二匹の金魚を飼うんだけど、その金魚たちにキャサリン・ヘプバーンスペンサー・トレイシーって名付けるの。この二大スターは公私にわたるパートナーよ。映画好きでもあるベルちゃんならではの洒落たネーミングだわね。

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金魚だわよ~♡


一番の見所はどこかって聞かれると、ウーン…、迷っちゃうんだけど、やっぱりアパートの隣人とクリスマスの夜に散歩するシーンかしらね!

正確にはシーンじゃなくてショットって言うのかな? クリスマスを一緒に祝う人がいない孤独な二人が雑談しながら散歩する様子が7分ぐらいず~~~~っと続くんだけど、それが長回しで撮られてるのよね。

すごいわよ、このテイク。二人がちょっとでもセリフを間違えた時点で終わり、背後のエキストラが動きをトチっても終わり、画面外の照明さんがライトの位置をズラしちゃっても終わり、おまけに後ろ歩きをしながら二人の正面を捉え続けるカメラマンさんがバランスを崩しても終わり…っていう緊張感漂う長回しのなかで、次第に薄っすらと恋心を寄せ始めた二人のロマンスの緊張感まで描かれているの!!

つまり私たちは二つの意味で緊張するわけね。危なっかしくも撮影が継続されている画面と、じわじわと恋が進展していく二人の関係性に。

ま~た、この散歩ショットが妙に可愛くてね。案の定っていうか…長回しの途中で撮影をトチちゃって仕方なくカットを掛けてるのよ。トータルすると7分ぐらいのショットなんだけど、5分過ぎたあたりで一回カットが入って…つまり画面が一瞬パッと切り替わっちゃうのね。そのあと何食わぬ顔で残り2分を長回しで撮ってるんだけど、明らかに途中一回ミスっちゃってるわけ。でもしれっと撮影を続行してる。そこがカワイイの。理由はわかんないけど、とにかくカワイイのよ。理屈なんてもういいじゃんかいさー!

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惹かれ合っていくわよ~。


この映画を作ったのはスーザン・ジョンソンっていう女性監督よ。たぶん私よりオバちゃんね。今回が長編処女作になるド新人だけど、安心なさい、制作現場を掌理する2人の女性プロデューサーは『ハート・オブ・ウーマン』(00年)『ホリデイ』(06年)『幸せのレシピ』(07年)『マイ・インターン』(15年)などを手掛けたきた女性映画のスペシャリストなんだから!

つーか、監督、脚本、原作、プロデューサーが全員女性なのよね。そして主演のベルちゃんも。

鮮やかな色使いと物憂げな世界観、ロマンスとコメディ、大胆な慎ましさ…。対極の要素を取り合わせながらもオシャレで上品な映画に仕上がった『マイ・プレシャス・リスト』を! ワタシ!! 推すわ!!!

ちなみに、ふかづめさんはこの映画をどう見たのかしら…と思って先ほどメールを送ったところ「観なきゃ損、損、孫正義!」って返ってきたわ。

ふざけてんじゃねぇ!!

このチンピラがッ!

 

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