シネマ一刀両断

面白い映画は手放しに褒めちぎり、くだらない映画はメタメタにけなす! 歯に衣着せぬハートフル本音映画評!

ひろい心でおまえを殴りたい

過日、低音域の出し方に定評がある余のイヤポンが断線により死亡。家にはまだ存命中のイヤポン2個とヘッドポン2個があるが、存命中のイヤポンはコンピューターに繋いで動画を視聴したりポッドキャストを聴く用なので音楽鑑賞には向いておらず、ヘッドポンも家の中で音楽を聴く分にはいいが外出時の装着は困難を極めん。でかくて邪魔だし。音漏れするし。

余は寝るときも音楽を聴きながら寝るため、イヤポンの断線率は人より高い。よって頻繁に買い換えているんじゃ。

てなこって買いに行かにゃあならんわけだが、イヤポンの購入は非常に肉体と精神がくたびれる。というのは、先にも申し上げたように自分はしょっちゅうイヤポンを壊す。だから余にとってイヤポンはかなり交換頻度の高い消耗品なので、そりゃまあ、よい音に越したことはないがとにかく安価のイヤポンでないと、たちどころに銭が底を突いて貧困に喘ぐはめになるのである。したがって低価格高品質のイヤポンを探さぬことには明日はない。人生それすなわちTomorrow Never Knowsってわけよ。

だがこの作業が存外くたびれる。イヤポンを選びながら「この音質でこの価格なら仮に1年以内に壊れてもギリ許せるかな」と自問したり、「この二つのイヤポンは音質も価格も同程度だが、片やコードの絡まりにくさを重視しており、片や音漏れ防止を重視している。ウー、迷う」と懊悩するなどして、気づけば1時間近くもイヤポンをポンポン付けたり外したりして試聴している客、それはオレ、みたいな厳選作業に全精神力を傾けてしまうからだ。どうせすぐ潰すのに。

以前買ったものと同じものを買うようにすればこのような苦心はせずに済むのだろうが、家電産業は移り変わりが激しいため、次々と新製品が出てきては以前の製品が過去の遺物と化してしまうし、ひとつの製品に拘泥せずに種々の製品に手を出すチャレンジ精神を育んでいきたいという意思が余サイドにあるのもまた事実なのである。だから余はイヤポンが潰れるたびに厳選作業をおこない、進んで心身を摩耗させているというわけだ。

だが、そんな不毛な作業はもうごめんだね、つって、ふらっと立ち寄った機械屋さんで、ほとんど直感で選んで適当に買った安物のイヤポンがうんこみたいな音質だったので、少し泣きました。

低音域がこもり気味で、低音と高音の分離もされておらず個々の楽器の彩りが殺されている。何より余が泣いたポイントは、全体的になんか銭湯で演奏してるみたいな音の曇りが尋常ではないこと。どのバンドを聴いても脳内に立ち上がるイメージは銭湯ライブ。誰が行くかよ。あとコードがそうめんみたいに細くて絡まりやすいのも厭でした。まさに外道。イヤポンというより嫌ポン。いかな直感とは云え、どうしてこんな劣悪なイヤポンを掴まされてしまったのだろう。

 

どうしてもこの銭湯イヤポンでは満足できなかった余は、改めて本日、ちゃんとしたイヤポンを買おう、つってJEUGIAへと足を運んだわけなのである。

ところがどうしたことか、JEUGIAのイヤポン売り場の前にはレコードのワゴンセールがぼーんと展開されており、その後ろの壁に掛かっているイヤポンたちがすっぽり隠されてしまっていて、余はイヤポンを見ることができない。邪魔なのでワゴンを動かそうと試みたが、余の貧弱なインナーマッスルでは微動だにしない。脳内で悲しいバラードが流れました。なんだ、この仕打ち。

しばらくそのワゴンを呪っていると、ワゴンのすぐ傍に三面回転ラックがあり、なんとそこにもイヤポンが多数掛けられていたので見てみたのだが、どれもビミョーな感じがして購買意欲は掻き立てられなかった。

やはり目の前のワゴンをどかさんことには、壁に掛かっているイヤポンを吟味する術はなし。そもそも論として、なんで商品Aの前に商品Bを置いて商品Aを見れなくしとるんだ、この店は。商品Aを売る気はもはやないのか。商売根性の明らかなる不足か?

だんだん腹が立ってきた余は、レジでお喋りしている二人の店員のもとにちょろちょろ駆け寄り、イヤポン売り場を指さして「あの、僕、イヤポンを見たいんですけど、あのふてぶてしいワゴンが一切を遮ってイヤポンが見られない」とやんわり抗議したところ、店員は二人して「あっ」、「あっ」とまごつき倒して「すみません。ふてぶてしいワゴンを直ぐどかします」と云って、二人がかりで一生懸命ワゴンを押し、ついにイヤポン売り場の前には何もない綺麗な空間ができた。ワゴンが相当重かったのか、二人の店員は汗を垂らしてハァハァ云っていた。特に若い方の店員は「先輩、俺もうダメっす」みたいな疲れた表情で息を切らせていたのである。余が謝る道理はどこにもないと思うけど、なんかごめんな?

結句よいイヤポンを見つけたので、それをガチッと購入。もし何も買わずに店を出た場合、あの店員たちはさぞワゴンのどかし甲斐がなかっただろうな、と思った。奴らのインナーマッスルに感謝。

 

~今日の一枚~

遊戯王を描いた。

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