シネマ一刀両断

面白い映画は手放しに褒めちぎり、くだらない映画はメタメタにけなす! 歯に衣着せぬハートフル本音映画評!

シンフォニックメタル四選

去年10月頃から私のミュージックライフ、及びそれに伴うミュージックタイムは、専らシンフォニックメタルへと捧げられていた。知ってた?

シンフォニックメタル!
またの名を、そう、シンフォニックメタル…。

それは交響曲のようなアンサンブルと、オペラのように歌い狂う声楽由来のソプラノ・ボーカルを「付添人」とした…メタルとオーケストラの結婚であるっ! 知ってた!?
よろしい。「知らなかった」と言う者は、丁度…そう! ファンタジーRPGゲームのラスボス戦で流れるみたいな音楽と思って頂ければよい!
わかったん!?
荘厳美麗にして花鳥風月! そう! 神秘と頽廃美に満ち満ちた音の幻想譚とはよく言ったもの! 今日は特別にシンフォニックメタルを代表するバンドを4つも紹介していくっ!
4つもやぞ!!
そんなわけで本日は、シンフォニックメタルバンドをファンタジーRPGゲームのキャラクターに見立ててその攻略法(聴き方)を伝授するっていう……若干わかりづらいコンセプトの記事だ。よく咀嚼してくれんと。
要するに、シンフォニックメタルを分かりやすくイメージしてもらう為にファンタジーゲーム風にアレする…ってことです。
 題して……そう!
「立ち上がれ勇者よ! ふかづめ完全監修シンフォニックメタル手引書 ~キミは剣をとるか魔法をとるか!? 朝焼けに輝くゴブリンの頭皮(それはあまりにもツルリとしている)~」の開幕だ!

 

【1】ナイトウィッシュ

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 そう! フィンランドが生んだナイトウィッシュは、1996年に結成された魔物軍隊だ(魔物軍団と書いて「バンド」と読む)。
後にシンフォニックメタルと呼ばれる音楽ジャンルにおいて先鞭をつけたフィンランド最大にして最凶の怪物軍団であるし、彼らにだけは誰も逆らえないことはあまりに有名。
そんなナイトウィッシュは、これまでに隊長(ボーカル)が二度代わっている。知ってた?
 初代隊長のターヤ・トゥルネンは上級魔法の使い手だ。2nd『オーシャンボーン』(98年)と3rd『ウィッシュマスター』(00年)を聴けばターヤ様の恐ろしさが骨身に沁みるだろう。沁みるはずだ。感情豊かなオペラ歌唱とメロディック・スピードメタルが混然一体となっているんだからな。そして、彼女の魔力は5th『ワンス』(04年)に至って最大値まで高まる。撃破は困難なので戦闘は避けるべし。
 ターヤが指揮を執っていた頃の初期ナイトウィッシュは「ファンタジーゲームのサントラですか?」ってくらい勇壮なスピードメタルを展開していたし、実際、その崇高なまでのメタル・アンサンブルは混迷を極めた世紀末に秩序をもたらしもした。そのためか、ターヤ期ナイトウィッシュのフォロワーは業界内外問わず後を絶たないという。あまりに有名。
 戦場に響き渡るターヤの天女ボイスは死にゆく兵への鎮魂歌か? あるいは災厄を報せる預言者の歌声か!? 雪原が血で染まる大地はヴァルハラか? 吉原か!?
そんなターヤ期の楽曲でお気に入りなのはBless The Child。オペラとメタルとポップスが桃園の誓いを交わしたシンフォニック三国志とはたぶんこのこと。

あ、今日はこんな調子で続いていくからな? 諦めてくれんと。

Bless The Child」(YouTubeより無断転載)

 そんなナイトウィッシュ・サウンドが深化を遂げ、やおらポップさを増した6th『ダーク・パッション・プレイ』(07年)でマイクを握ったのが2代目隊長のアネット・オルゾンだ。この政権交代に近隣諸国は畏怖をした。
 高貴なオペラ技巧を駆使したターヤとは裏腹に、ポップな歌声でメタル・シンフォニーの新たな可能性を引き出したアネット嬢はたちどころにファンに歓待されたし、事実、そのことをアネットはとても喜んだ…と正史にはある。
 ちなみにアネットは魔の森に潜むイタズラ好きのゴブリンという出で立ちで、魔法のかわりに毒爪による引っかき攻撃を繰り出してくる。コソコソと森に隠れたりもする。だがパワーは低いので、剣で叩き斬れば容易に撃破できるはずだ(撃破すれば「毒りんご」をドロップする)。
 続く7th『イマジナエラム』(11年)発表後、なぜか自軍と衝突した彼女は「アネットの乱」を引き起こし、惜しまれながらも軍を脱退。現在は別の軍隊で指揮を執っている。
アネット期のアルバム2枚は重厚なオーケストレーションを前面化した満艦飾の仕上がり。とかく胃もたれしがちなフル・オーケストラを“気持ちよく聴いていられる最適解”に誤差なしで収めるサウンドメイクは職人芸の域。
 そんなアネット期の名曲はStorytime。“魔の森に潜むイタズラ好きのゴブリン感“がよく出た、アネットの代表曲といえる(いえる)。

Storytime」(YouTubeより勝手に引用)

 そんなアネット嬢もアルバム2枚で無念の脱退を遂げ、その穴を埋めるように3代目隊長フロール・ヤンセンが加入し、8th『エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル』(15年)を完成させる。近隣諸国は戦慄をすごくした。中には「タイトルが覚えにくい」という声明を発表する者もいた。
 フロール姐さんは身長190㎝を超える頑強な女傑であり、アダムスファミリーの母ちゃんよりもアダムスファミリーの母ちゃんという勇ましい身ごなし。それでいて人好きのする笑顔!(チャーミン) 自身のYouTubeチャンネルで「レット・イット・ゴー」を絶唱した雄姿が200万再生を超えたことはあまりに有名。
 そんなフロール姐さん。ナイトウィッシュ加入前はアフター・フォーエヴァーというオランダのゴシックメタル・バンドに1997~2009年まで所属。アフター・フォーエヴァー解散後、各地を放浪していた頃にナイトウィッシュ内部で「アネットの乱」が勃発し、次期隊長に抜擢される。それ以降はナイトウィッシュ兵を率いてゴルゴダの丘に陣を張るラスボスとして君臨。黒魔法と斧攻撃を撃ち分けてくるうえに耐久力も高いので相当厄介な相手だが、諦めずにがんばろう。撃破すると伝説の斧「ウィッシュアクス」をドロップするぞ!
 そんなフロール期、忘れじの曲はÉlan。激しい曲もいいが、ここはミドルテンポの「Élan」で一息つかない? バグパイプや縦笛が鳴りしきるフォークロア丸出しの民族メタルで憩いの一時を。加えて、北欧ファンタジー全開のミュージックビデオが出色の出来栄えにおさまってもいる(フクロウ好き必見)。闇夜のシルエットに象られるフロール姐さんも超かっこいい。大サビ楽しい。じじいとばばあも可愛い(老人好き必見)。

Élan」(YouTubeからかすめ取ってきた代物)

~その時歴史が動いた! ナイトウィッシュ早わかりメンバー脱退小史~

2001年…初代ベーシストのサミ・ヴェンスケが急に情熱を失い脱退。マルコ・ヒエタラが2代目に就任。
2005年…初代ボーカリストのターヤ・トゥルネンが欲望の沼にはまり解雇(脱退)。アネット・オルゾンが2代目に就任。
2012年…2代目ボーカリストのアネットがメンバーにむかつきを覚え脱退。フロール・ヤンセンが3代目に就任。
2019年…初代ドラマーのユッカ・ネヴァライネンが不眠症に苦しみ脱退。カイ・ハフトが2代目に就任。
2021年…20年間もバンドを支えてきた2代目ベーシストのマルコが闇に呑まれ脱退(失踪を遂げもする)。

 

【2】ウィズイン・テンプテーション

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 オランダが生んだウィズイン・テンプテーションは1996年に結成された黒騎士団だ(黒騎士団と書いて「バンド」と読むのが吉)。
勇者として名を馳せていたシャロン・デン・アデル(通称・シャロ姐さん)が昔馴染みの騎士仲間に声をかけて戦旗を掲げた…というのだ!!
 9オクターブの怪音波を放つシャロ姐は、魔物を貫く伝説のマイクスタンド「ルーンの槍」を装備すると全能力が20%上昇する専用スキル「ファスター」が発動する最強クラスの槍手。しかし、敵を一人討伐するたびになぜか一曲歌う…という非効率なことをしているので強さの割に戦果は少ない。戦場で歌う曲はゴシックメタルの耽美性や頽廃性を摂取しながらもパワーメタルの激情を押し出すという絶妙なバランスの上に成り立っており、一説には敵勢力の中にも隠れファンは多いのだとか(少ないとも言われている)。
 アルバムによりけりだが、シンフォニックメタルにしてはハードロック色が濃いというか、むしろハードロックにしてはシンフォニックメタル色が濃いといった稀有な音楽性を持つウィズイン・テンプテーション。繊細な美より確かな力。幽玄夢中より現状認識に長けた音だ。
 つまりウィズイン・テンプテーションは物理。
意味はよくわからんが、物理かそうじゃないかでいえば物理。
いずれにせよ「シンフォニックメタル」という大陸はウィズイン・テンプテーションと先述のナイトウィッシュによって統治されたといっても過言ではなく、それ以降のバンd…軍隊は「劣化版ウィズイン」「ナイトウィッシュもどき」と揶揄されがちな傾向にある。なんという世論なんだ。それくらいこの二大勢力の影響力は計り知れない、ということなのか。
 そんなウィズイン・テンプテーションのロッキン情緒が炸裂しているのがFasterだ。ファスターファスターファスターファスター…と唱えながらサビに向かっていくシャロ姐さん。何をそんなに急いでいるというのか。

Faster」(YouTubeからパクってきた)

 

【3】エピカ

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 オランダが生んだエピカは、2002年に結成された理学者集団である(理学者集団と書いて「バンド」って読め)。
ナイトウィッシュの名盤『オーシャンボーン』(98年)に影響を受けて声楽を学んだ主任、シモーネ・シモンズ(通称・シモシモ姐さん)を中心に、日夜シンフォニックメタルの魔導研究に余念のない理系チームだ。
 エピカは毎作ごとに、科学、宗教、歴史などをテーマに音楽集を制作している。たとえば4th『デザイン・ユア・ユニヴァース』(09年)のコンセプトは「量子物理学における画期的発見」。
ほぅ……。

どういう意味ィイイイイ!?
メゾ・ソプラノ歌手のシモシモ姐さんは、その圧倒的な美貌に定評がありながらもメタル界屈指の変顔女王として民衆を和ませる茶目っ気メイカーとしてあまりに有名。なんと変顔レパートリーは4つを超えるという…!
4つ…。つまりほぼ無限である。

2017年、そんなシモシモ姐さん率いるエピカは、欧州でも大人気のアニメ『進撃の巨人』の主題歌「紅蓮の弓矢」などをカヴァーしたミニアルバム「EPICA VS attack on titan songs」をデデンと発表。もともと原曲からしてシンフォニックメタル全開なので親和性は抜群。オーケストレーションの絶美が冴えに冴えた。
ゴシック色の強いリズム隊を擁した夜空満点のメタル・シンフォニア。教会に行ってないのに教会に行った気になるという疑似教会赴きバンドとはまさにこのこと。
私が発表するベスト・エピカはUnleashed。心臓を差し出して、懺悔して果てろ! その魂はシモシモ姐さんが救いたもう事はあまりに有名。

Unleashed」(YouTubeからパクった)

 

【4】ディレイン

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しんどくなってきた。

 無理してファンタジー風に書いたりさぁ。やれ魔法がドーシタ、槍がコーシタと…。却って伝わりづらくなってることも、俺わかってる。例えることに力を入れすぎると結局こうなるのよ。まったく世知辛い。だが今更あとにも退けまい。ムリをぶっ貫く槍を今ほど欲しいと思ったことはないよ。

さて。オランダが生んだディレインは、2005年に活動を始めた魔導師軍隊だ(魔導師軍隊と書いて「バンド」と勿論よむ)。
先述のウィズイン・テンプテーションを脱退したマタイン・ヴェスターホルト(Ky)が立ち上げたプロジェクトで、鼻ピアス丸出しの歌姫シャルロット・ヴェッセルズ(通称・ヴェッセル姐さん)を隊長に鋭意進軍中。
 メロディを前面に押し出した、あまり癖のないシンフォニックメタルなので、ご近所さんに醤油を借りた礼としてディレインのCDを貸してやれば存外よろこばれるだろう。
 なお、ワイルドな容姿に反して優美な歌声を持つヴェッセル姐さんだが、こちらが油断したころに魔法攻撃を仕掛けてくるので注意をすること。魔法防御も高いので、遠距離から弓で削ったあとに一斉攻撃を仕掛けるとよい。撃破すると便利な装備品「ワープの杖」をドロップする(ぜひ入手しておきたいところ)。
 そんなディレインの音楽性は……よくわかんねえ。ナイトウィッシュやウィズイン・テンプテーションのようなシンフォニックメタル第一世代を摂取した次世代シンフォニックメタル。流麗なサウンドとメロディを武器にのし上がってきたが、エピカほど特出した演奏力やアレンジの才があるわけではなく、だけどヴェッセル姐さんの歌声には抗いがたい魅力があって…。こんな規定不能のバンd…軍隊…もうバンドでいいか、こんな規定不能のバンドがあってもいいのかもわからない。
 そんなディレインの曲で私に響いたのはSuckerpunch。サッカーパンチ=不意打ち。きょくめいがかっこいい。

Suckerpunch」(YouTubeからガメてきた)

 

 

【うれしい追記】

現ナイトウィッシュ、フロール姐さんによる余技で歌った「Let It Go
第一形態のフリーザと見紛う、この肩慣らしっぷり。世間で難曲と目される「Let It Go」もお茶の子さいさいなのでありました(本気出すと『アナ雪』の世界観を壊しかねないからセーブしたのかな)。

それにつけてもフロール姐さんのディズニーヴィランぶり。アダムスファミリーぶり(すてき)。

それでもこの聴きごたえ(YouTubeや)。

 

【うれしい謝罪】

※当記事は筆者がどろどろに泥酔した状態で作成されました。
シラフで読み返した際になにをいってるかぜんぜんわからない部分も散見されましたが、訂正する労力を厭わせて頂くべく、そのままの発表と相成ります。シンフォニックメタルのことがうまく伝えられてないかもしれませんが、そしたらごめん。