シネマ一刀両断

面白い映画は手放しに褒めちぎり、くだらない映画はメタメタにけなす! 歯に衣着せぬハートフル本音映画評!

がんばっていきまっしょい

おまえが消えて喜ぶ者に、おまえのオールをまかせるな。 ~リーに「ダッコ」やれよ、を添えて~


2024年。櫻木優平監督。3DCGアニメーション作品。

ボート漕ぎもって青春する中身。


なつかしい人に出逢ったような
やさしい便りが  いまとどいた
忘れかけていた幸せ
あなたにも  わけてあげたい
ほら、チェルシー
もひとつ  チェルシ~

うわあ、まだや思て機嫌よう「明治チェルシーの唄」歌とてたあ!!!
この歌とてたシリーズ、誰も気に入ってないだろうけど俺はわりあい気に入ってるんですョ。なんとなれば、ほぼ実体験っていうか、ひとりの夜道や、エスカレーター、スーパーの隅っちょなどで機嫌よう歌とてたら後ろに人がいて聞かれてたっ、おるならおる言うといてくれんと、みたいなシチュエーション、否、シチューエーション、カレーエーション、ハヤシライスエーションなど、各種愚劣なエーションが知らんうちに惹起されてるエブリデイっていうか、そんな人生なんだよな俺の人生って。
だから悔しい分、その悔しさをブログに書き殴って憂さ晴らし。これでおあいこ。読んでお愛想。気分はトントン。気分イレブン。いいセブン。

どうでもいいけど、セブンイレブンって元々はアメリカ発祥のコンビニエンスで、当時は7時から23時まで営業していたから「セブンイレブン」ちゅう名前になったらしいけど、現在は24時間のコンビニエンスなので、そら、どうしても俺なんかは「ほな24時から6時の立場は?」と、こう思うわけです。
あと、キャッチコピーとして有名な「セブンイレブン、いい気分♪」に昔から違和感あんにゃけど。いい気分かどうかは客次第やろ。客が判断すべき評価を、さも代弁するかのように商品(企業)の側が“だろう決め”すな。
それで言うと、ファミマの「あなたとコンビに、ファミリーマート♪」は違和感の極致。まずもって、上の句の「あなたとコンビに」。
組む気ないわ、おまえと、コンビは。
スーパーの方が安いから、コンビ組むにしてもスーパーと組むわ。コンビニエンスは24時間営業というのが唯一にして最大の利点。その反面、価格は高い。コスパは悪い。いわば相方というより愛人枠。
ほんで、下の句の「ファミリーマート♪」。
上の句の「コンビ」っちゅうワードと、イメージの繋がりが悪いのよ。
広く一般論として「ファミリー」ゆうたら、パパとママがいて、キッズがいて、ややもするとオジイやオバアもいるかもわからん。なんせ大勢。三人以上。
翻って「コンビ」とは二人組、ペアという意味。まあ、もちろん、子供を作らない夫婦(ファミリー)も世の中大勢いらっしゃるけれども、今言ってるのは夫婦の形とかそういう話ではなくイメージの話であって、あくまでイメージ的に「コンビ」と「ファミリー」は対立語として喧嘩し合うから、ひとつのコピーに落とし込むのは上手くないんじゃない? ちゅ話。
だから「あなたとコンビに、ファミリーマート♪」と聴くたび、俺なんかは「どっちなん。コンビなん? ファミリーなん?」と思うわけ。「結果、うっとこ何人家族なん?」つって。

他方、ローソンに関しては何ら思うところはないですね。
「マチのほっとステーション」とか「ローソンでハピろー!」とか言うてますけども、べつだん言葉遊びとしては何とも掛かってないので。思うところはないです。そもそも掛けるのムズいしね、ローソンって。
「ロー」も「ソン」もネガティブなイメージを連想させるワードだし。
「ハイトク」とかに店名を改めたらええのとちがうかな。

そんなわけで本日は『がんばっていきまっしょい』です。

 

◆ボート漕ぐのんや◆

 オット、こりゃまた懐かしい作品の劇場アニメ化やで。
『がんばっていきまっしょい』ちゅうたら1996年に小説が出て、1998年に田中麗奈主演で映画化。2005年には鈴木杏主演でドラマ化もされたガールズ漕艇コンテンツの金字塔やないの~!
見たことないけどな。
それを19年ぶりになんでわざわざ劇場アニメ化、それもフル3DCGでやろうと思ったのか、俺にはさっぱりわからねえ。
雨宮天鬼頭明里伊藤美来ら(俺はまったく存じ上げんが)、今をときめく人気声優陣が集結したにも関わらず興収的には大爆死を遂げたことで逆に少し話題になった本作。興行収入7500万て。ババ滑りしてますやんか。
それで『がんばっていきまっしょい!』言われてもおまえが頑張れとしか。


ま、ええやんええやん。お金の話はええやんか。作品、評してこ♪
まずは筋を紹介するな。
高校2年の村上悦子とその幼馴染みの佐伯姫は、ある日、転入生のおてんば娘・高橋梨衣奈のペテンに遭い、廃部状態だったボート部の復活計画に加担させられる。だが部活申請が通るのは4人以上。「ほな、あかんではないか」。あなたはそうお思いだろうが、どうぞ安心されたい。同級生にして元ボート部員の二宮隼人なる男子生徒が再びオールを漕ぐことを待ち望んでいたのだ!
晴れて4人集まり、ボート部復活。その噂を聞きつけたのが学年イチのちゃきちゃき娘・兵頭妙子と、学年きってのお嬢様・井本真優美。この2人も入部したことで、女子5人は舵手付きクォドルプル(漕手4人+コックスで漕ぐのん)を結成し、男一匹空っ風の二宮隼人はマネージャー兼、大会ではシングルスカル(一人で漕ぐのん)をやった。
最初こそ息が合わずにわやくそだった女子5人のクソボートも、やがて部活終わりのお好み焼きや海辺のバーベキュー大会、夏祭りでの花火鑑賞といったレクリエーションを通じていい感じにまとまりが出てくるなどして大会でも好成績を記録。強豪校ボート部エースの寺尾梅子との交流や対決なんかもありつつ次第に一枚岩の結束を見せる。

 

◆映画なんぞ逃げたもん勝ち◆

 ルックはすごくいいと思ったよ、この作品。
ルックとしか言いようのないサムシング。
キャラクターデザインや3Dモデリング、背景、音響。それらすべてによる絶妙な黄金比のもと、作品のダシがじわりと醸成された、まるで煮物みたいなアニメーションですよ。褒めてるのか煮てるのかよくわからない喩えだけど。
高校2年、ひと夏の青春がうまく真空パックされた、郷愁くすぐるセンチなムード。3DCGでこの感じを出したのはすごいね。舞台となった愛媛県松山市の長閑な景色や、瀬戸内海に浮かぶちっぽけな島々のよさ味。


ただ、それをちょっとだけ台無しにしたのが時代設定。
現代なのよ。
ばりばり令和6年なのよ。ぎゃんぎゃんにスマートフォン使ってんのよ。使うなよスマホ。
そも、『がんばっていきまっしょい』というタイトル自体、原作者である敷村良子の母校・愛媛県立松山東高等学校で1966年から広く部活動で使われている掛け声とのことだし、それに則って原作および映画/ドラマ版の時代設定も(ちょうど原作者が高校生活を送っていた)1970年代。だから登場人物も「村上悦子」や「兵頭妙子」など、やや古風なネーミングなのでしょう。
あのさぁ…? もしくは、あのやぁ…。
令和6年に兵頭妙子なんてJKおるけ?
おるわけあれへんがな。古めかしすぎるやろ。しかもこのアニメ版の兵頭妙子はナマイキ赤髪ツインテールなのよ。ほんでスマホいらいまくって。
令和ド真ん中にスマホいらいまくってるナマイキ赤髪ツインテJKで「兵頭妙子」やで?
「どうも、デジタルネイティブ世代の兵頭妙子です。インスタ配信見てね」なんつって時空の歪んだ挨拶するんか?
ノスタルジアとかセンチメンタルを大事にするなら原作準拠で、時代設定も昭和のままでよかったと思うし、「いやいや、そしたら赤髪キャラとかが時代にそぐわなくなるじゃん」と言うのであれば逆に名前の方を令和ナイズすればよかっただけなんじゃねえのかな。
なんしか、昭和と令和が喧嘩してるせいで、もうひとつノスタルジアに浸れないというか。せっかく映画冒頭で感じていた「地方の田舎のこの感じ。懐かしいなー」の「なー」ぐらいで「でもゴリゴリ令和なんだよなー」が追いかけてくるというか。
“昔っぽさ”を“ド今”で消臭すなよ。

お嬢様緑髪の井本真優美(左)とナマイキ赤髪の兵頭妙子(右)は犬猿の仲。

あと、もうひとつ残念至極だったのは水の表現です。
スライムに見えるのよねー。
ゆらめく水面、水飛沫、雨などは相変わらずCGの天敵のようで。そっか、日本のアニメって未だにこの問題をクリアできてないのね、って。そういえば今年『野生の島のロズ』(25年) って3DCGアニメーション作品があったじゃないですか。そのトレーラーを見たとき、一瞬「国産アニメかな?」って思ったんだけど、水の表現が透けよく滑らかだったので「…てことは違うな」つって調べたらドリームワークスで、みたいなこともあり。
でも漕艇シーンでは流れる水面が映らないよう、うまくアオリでごまかすなどをしていた!
って褒めていいのか。いいんだよ。現状、日本のCG技術で水を表現するなんて土台無理ノ助なんだし、ならば真正面からぶつかって失敗するのは愚の骨頂。逃げたもん勝ちだよ、映画なんて。撮れないモノなら撮らなきゃいい。天才でもない限り、撮りたいモノだけ撮ってりゃいいんです。
実際、5人も最後の大会では“序盤先攻型の逃げきり作戦”をとるからな。「がんばって逃げまっしょい!」ゆうて。

退屈な話はまだ続きますよ。
構図に関して。クォドルプルともなるとボートの全長は約12メートル。そんなもんを海に浮かべて漕ぎ漕ぎするんだから無論カメラは横の構図に支配される、と思いきや、ここは意外と工夫が利いており、充実したアングルが淡味に堕すことを回避していて、えらいと思った。
また、競泳を題材にしたアニメ作品『Free!』なんかは真下からの構図(プールの底から泳者の腹を見上げるフレーミング)でキャラクターの内面や精神性を表していたけど、漕艇のローイング競技ともなればやっぱり真上よね。5人が1本の絹糸のようになってゴールをめざす。そんな輝かしい青春の姿を鳥瞰する視点の美しき!



◆リーに「ダッコ」やれよ◆

キャラクターの3Dモデリングはとても自然でよかったと思う(まあ、“アニメ絵に自然な動きをされると不気味の谷現象みたいなのが起きて却って不自然に感じる”という問題はひとまず措く)。
なんせ表情がよく動きます。なんてキメ細やかな表情筋だと5人はおれに言うの。現実のヘタな役者よりも芝居達者やがな。
ただ、キャラに関しては一点だけ苦言を。

渾名がややこしいんだわ。

まずもって主人公の村上悦子は「悦ネエ」。これはまあ、渾名のなかに名前が入ってるからわかりやすい。まあ、年上でも姐御肌でもないどころか、むしろニヒルでアンニュイな人物なのに「ネエ」がついてる点に関しては意味不明だが。
でもまあ、わかりやすい。
悦ネエ、ありがとう。



次に、そんな悦ネエの幼馴染みである佐伯姫は「ヒメ」
ありがとう。わかりやすい。
渾名が名前、っていうね。
逆か。名前が渾名なのか。わかりやすい。ありがとうな、ヒメ。
わかりよいわ。



3人目はボート部復活の契機を作った転入生の高橋梨衣奈。性格はおっとり天然系。そんな彼女の渾名は「リー」
イヤやろ、リーは。
多感な年頃やのに。
女子高生で「リー」やで? 兵頭妙子に「カンフー使えそうじゃね」って言われてんねんで?
拒否せえよ。「リーはやめて」って。
「むリー」ゆうて。



そやってリーをイジってた兵頭妙子は先ほど紹介した通り、ナマイキ赤髪ツインテール。言葉遣いが汚くて男勝り。ほんで渾名が「ダッコ」
あカワイイ。
カワイッ…。
逆でよくない?
リーに「ダッコ」やれよ。
おっとり天然系のリーが「ダッコ」で、ナマイキ赤髪のダッコが「リー」やろ、こんなもん。
でも俺はそんなダッコが好きやで。一番サッパリしてるし。ええやっちゃ。


最後は井本真優美。実家が老舗漁業という共通点からダッコ(兵頭妙子)とは犬猿の仲。性格も対照的で、彼女の方は気品高く、お嬢様口調。
ほんで渾名が「イモッチ」
気品高いィゆうとんねん。
お嬢様キャラやのにイモッチは逆ッチや。
もおお~~。なんでこんなことになるんよ~~。紛らわしすぎやろ、おまえら名前よぉ。
ていうかイモッチが「ヒメ」でよくない? お姫様みたいに綺麗で、ロングヘアやし。
ほんで、また話ややこしくなるけどヒメとリーが似てるのよ。見た目も性格もよう似たあんねん。声優さんの声質までも。見分けつかへんねん。
もぉ~~~~~~~~。



物語は起伏に乏しく、スポ根三原則の努力・友情・勝利はいずれも小さな三角形のままヌルッと結末部へと向かう。
初めこそ漕げども漕げども進まなかったボートが徐々にリズムとスピードに乗って大会でも好成績を記録するに至ったロジックなんて“5人の足並みが揃い始めたから(5人の親睦が深まったから)”以外の何物でもないのになぜか映画は5人の連帯を描こうとせず、あまつさえ物語中盤では悦ネエが二宮(男子マネージャー)に片思い、みたいな至ってどうでもいい恋愛事情がドラマに水を差す。
しかも悦ネエ、恋煩いのせいで練習に身が入らず、メゲメゲしたりクヨクヨしたり、そのために大事な大会を控えたボート部は一時活動休止を余儀なくされるからね。ほんで結局、淡い恋は儚くも散り、けれど悦ネエ、妙に晴れがましく「ああ、失恋してサッパリした。恋にうつつを抜かすなんてアタシどうかしてた。さ、練習しよ♪」なんつって大会に向けて今さら本気モード。
先に4人に謝れよお!!!
しかもその間、約20分。悦ネエのどうでもいいメゲメゲ恋煩いのクヨクヨ専門時間、20分。
長いいいいいいい。
上映時間95分しかないのに、悦ネエの身勝手なメゲメゲ恋煩いのせいでボート部の活動も、あまつさえ映画自体も20分停滞。この時間を努力・友情・勝利に充ててくれてたらなああああああああああああああああ!


悦ネエ、メゲメゲしないよ。

ただ、そんな起伏に乏しい物語も俺は楽しめたけどね。学生時代の夏の日のメモリーって大体そんなもんでしょ。
起伏もヘチマもキュウリもズッキーニもなく、ただ漫然と繰り返される“昨日の続”。そんな、コピー機で刷ったような退屈な日々を「青春」と人は呼ぶんじゃないですか?
であるならば本作は青春の匂いを正確に嗅ぎ当て、描きあげることに成功してますよ。
まあ…物語として面白くはないけどな。
決して面白くもなんともないが、面白くもなんともない日々を「青春」と人は呼ぶんでしょ!? って。

おまえが消えて喜ぶ者に、おまのオールをまかせるなぁ!!!

(C)がんばっていきまっしょい製作委員会