この映画を観ればアナタの好きな有名人とお近づきになれます!
2017年。マット・スパイサー監督。オーブリー・プラザ、エリザベス・オルセン。
イングリッドは友人の結婚式に呼ばれないことに腹を立てて披露宴に乱入し、施設に入れられる。出所後、禁止されていたSNSを始めた彼女は、華やかな生活を送る女性テイラーのファンになる。テイラーと友だちになるため、彼女が暮らす西へ向かうイングリッドだったが…。(映画.comより)
おはようございます、みんな。
仕方がないからシャワー中に口ずさむ曲ランキングTOP5を発表します。
5位 山口百恵「夢先案内人」
4位 ザ・ビートルズ「ヘルプ!」
3位 美空ひばり「愛燦燦」
2位 エレファントカシマシ「風に吹かれて」
1位 デレク・アンド・ザ・ドミノス「いとしのレイラ」
1位はソロ活動を始める前のエリック・クラプトンが在籍していたことでお馴染みのデレク・アンド・ザ・ドミノスが残した名曲として知られる「いとしのレイラ」と! こうなるわけです。
シャンプーしながらレイラレイラ言ってるわけですよ。こんなことを皆さんに知られて、とても恥ずかしい。プライベートが暴かれた気分だ。
でも、正味な話、私が口ずさむのはエリック・クラプトンがレイラレイラ言ってる歌メロじゃなくて、ギターリフなんですよ。「いとしのレイラ」は歌よりもギターありきの名曲なんでね。この曲です、この曲です。
リフかっけぇぇぇぇぇぇぇぇ。誰やこんなん思いついたん。
テレレレレレレーン♪ デーンデーンデーンデーンデ~ン♪ という超有名なリフ。開始1秒で聴く者の前頭葉を爆破せしめる一撃必殺のギター。
あのフレーズをひたすら口ずさむんです。まぁー、シャンプーがはかどるはかどる。アッワアワですよ。最近シャンプーの泡立ちが悪いなーと悩んでいる人は「いとしのレイラ」を口ずさむといいですよ。リンスすら泡立つと思います、もはや。
そんなわけで本日は『イングリッド ネットストーカーの女』です。内容薄いっす。
◆憧れの人に近づく方法講座◆
オーブリー・プラザ演じるSNS依存のヒロインが、インスタグラムで華やかな写真を投稿しているエリザベス・オルセンの狂信的なファンになっていく。
まぁ、ほぼ私である。
オーブリーほどではないが、私もエリザベス・オルセンの軽いファンなのだ。
姉は双子セレブのオルセン姉妹(『フルハウス』のミシェル&タナー!)だが、チャランポランな姉二人とは違ってエリザベスだけがまじめに女優業を続けている。
場末的怪作『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(11年)でハリウッドデビューしたエリザベスは、その後いきなり『アベンジャーズ』シリーズや『GODZILLA ゴジラ』(14年)に抜擢され、早くもキャリアに暗雲が立ち込めた。できれば大作映画は金を生む代わりに俳優を食い潰すということに気づいて、クリステン・スチュワートのように真っ当な作品選定をしてもらいたいのだけど…。
スマホばっかり触ってるエリザベス・オルセン。
私とこの映画のヒロインにはエリザベス・オルセンのファンという共通点があるが、ひとつだけ違うのはこのヒロインがバッキバキのストーカーだということだ。
インスタグラムでカリフォルニアでの華やかな生活を発信しているエリザベスに憧れたオーブリーは、彼女が食べているものや身に着けているものを真似して少しでも彼女に近づこうとする。
ここまでなら特に問題はないし、むしろ憧れに近づきたいというオーブリーの願望はよくわかる。
私だって小学生のころはジャッキー・チェンの真似をして校庭のジャングルジムでアクロバティックな動きをして脛を打ったり頭をぶつけるなどして生傷が絶えなかったし、それでも物まねを続けて「あいやー」と言いながら痛がったものだ。
ハードロックやヘヴィメタルを聴くようになってからは、真っ黒なバンTや『エクソシスト』のシャツを着るなどして周囲から「めちゃめちゃ怖いからやめた方がいい」と敬遠されたりもした。
だから憧れのエリザベスに近づこうとしてファッションや食生活を真似する気持ちはよくわかる。
四六時中エリザベスのインスタをチェックするオーブリー・プラザ。
だがオーブリーは物理的な意味でも彼女に近づこうとする。
エリザベスが暮らすカリフォルニアに引っ越して、彼女の行きつけの店に入り浸り、店員にこう告げる。
「彼女は何を食べた? 同じものをちょうだい。あと、彼女が座ってた席はどこ?そこに変えてもらえる? 彼女はいつも何時ごろにこの店に来るの? どこに住んでるか知ってる? 連絡先は?」
あかん、俺の理解を超えた。
怖え、なんだこの女…。
たまたま雑貨屋でエリザベスを見かけたオーブリーは「マジ!」と発奮。帰路につく彼女を尾行して住所を特定、さらにはエリザベスがいない間に不法侵入してペットの犬を誘拐した。
蛮勇か、おまえは。
ブレイブハートの無駄遣いがすげぇ。
それにしてもなぜ犬を誘拐したのか。ここがオーブリーの賢いところで、悲嘆にくれたエリザベスが「犬を探してます!」とSNSで訴えているのを確認したあとに、自分で誘拐した犬を返しに行くのである。
「この子、お宅のワンちゃんでは? 家の近所にいたから、もしかして…と思って」
当然エリザベスは「本当にありがとう! あなたは命の恩人ね。夕食でも一緒にどう!」と、こうなるわけだ。
晴れて憧れのエリザベスと接点を作ることに成功したオーブリー。一世一代のマッチポンプ。空前絶後の接近術である。これを真似すれば好きな有名人や憧れのあの人とお近づきになれること請け合いだ。必要なものはただひとつ、蛮勇だけ。
瞬く間に仲良くなる二人。やっぱりスマホは手放さない。
エリザベスに気に入られてすっかり親友同士になった二人だが、いまの関係を築くまでにオーブリーは何度も嘘を重ねてきた。
そもそもエリザベスに感化される前のオーブリーは触るものをみな傷つけずにはいられないギザギザハートのプッツン女で、更生施設のなかで生きる屍も同然の生活を送っていたのだ。おまけにエリザベスの家に置いてある家具や日用品を盗撮するような狂信的なファン。
ところが、そんなオーブリーの正体に気づかず「うちらズッ友」とか言っていたエリザベスの態度がやおら変わり始めた。エリザベスはほかの友人と親しくしはじめ、オーブリーとの関係を疎かにするのである。当然オーブリーは「裏切られた」という被害妄想に駆られることになる。
嫉妬と憎悪のバドミントン。
逆上したオーブリーはある事件を起こし、二人の仲は木っ端微塵と化す…。
◆僕たちみんなネット中毒!◆
映画として特に語るべきところはない。
インスタグラムの画面が何度も挿入されるが、映画は横長画面のメディアであって縦長のスマホ画面をそのままぶち込むのには適さないから今すぐやめた方がいいということと、サンダンス映画祭でオリジナル脚本賞をゲットしたわりには筋運びが恣意的に過ぎるということを指摘しておきます。この監督の未来のために。
とはいえ被害者視点からではなくストーカー視点から描いたことでゴミのようなスリラー映画群に名を連ねることを回避していて、ストーカーの精神状態を観察するという見方を通してSNS社会に一考を促すという…わりと真っ当な作品に仕上がっている。
それと、この映画はSNSにどっぷり浸かっている俺たち現代人をチクチク刺してきます。
オーブリーのように四六時中SNSに張りついては慣れた手つきで知人の投稿にイイネを押しまくってはいないだろうか。耳の痛い話である。
はっきり言って、イイネとは友好関係を維持するための手っ取り早い手段であり、年賀状やお歳暮と同じでコミュニケーションにおける賄賂に過ぎない。
現代人は互いにイイネを押し合うような関係性に人との繋がりを感じて承認欲求を満たそうとするが、もちろんそんなものは幻想にすぎない。仮にイイネ1回につき1円かかるとすれば誰もイイネなんて押さないだろう。ネット上の繋がりなんてしょせん1円以下なのだ。
そうそう。以前「祖父が死にました」という誰かの記事にイイネがめちゃめちゃついてて思わず笑ってしまった。イイことあらへんがな。
一方のエリザベスもSNS依存である。
本の写真を投稿して読書家をアピールするが実は読んだことがない…という裏切り。
また、「今からこれ食べるの!」なんつって料理の写真も毎日載せているが、私の目にはブタが必死になってエサを自慢しているようにしか見えない。
おそらくエリザベスは、読むための本や食べるための料理をわざわざ写真に撮って投稿することで自身のライフスタイルそのものをショーにしているのだろう。尤も、それによって生活にハリが出るとか自分を高められるというなら大いに結構なことだが、必死こいて撮影した料理もやがてはウンコになるわけだ。とても悲しいことだけど。
いわば料理の写真とはウンコの遺影である。
それにたかってイイネを押しまくるオーブリーはさしずめハエといったところか。すてきな時代だと思います。SNS最高。
あ、もうこんな時間か!
私は毎日この時間帯に自撮り写真をインスタに載せているのでそろそろ終わらねばなりません。狙ってくで、インスタ映え。
僕のインスタに毎日イイネとコメントを残してくれるファンが1人いて、最近京都に引っ越してきたらしいんですよね。僕がよく行くレストランにも通い詰めてるらしいし。
あ、いちばん大事なことを言い忘れてました!
犬が行方不明です。
2日前にいなくなりました。バッキンガムという名前のフレンチブルドッグで、たまに二本足で歩きます。京都の四条界隈で見かけた方はぜひ連絡お待ちしています!