シネマ一刀両断

面白い映画は手放しに褒めちぎり、くだらない映画はメタメタにけなす! 歯に衣着せぬハートフル本音映画評!

ドント・ウォーリー・ダーリン

ドント・ウォーリー・オリヴィア・ワイルド。きみはすでに立派な映画監督だよっ。


2022年。オリヴィア・ワイルド監督。フローレンス・ピュー、ハリー・スタイルズ、オリヴィア・ワイルド。

ふしぎな町で夫婦が幸せ掴もうとする中身。


ありがとありがと。ふかづめやで。
最近、独り言がものすごい。
もともと独り言はかなり多い方で、たとえば、そうね、ひとり自部屋で料理中に「これ塩やっけ? 砂糖か。紛らわしいのう。なんで両方白いねん。アホか。差別化図れよ。どっちが先か知らんけど、仮に塩が先に発明されたんやったら、砂糖発明したヤツ、『これ塩と似てて紛らわしいから黒くしたろ』とか思え。後世の人に『塩と砂糖って紛らわしいな~~』って思われるかもな~~って思え。甘いな。砂糖だけに。ていうか、ほんまにこれ砂糖け? 舐めてみよ。ぺろ。甘いなあっ!みたいな、しょうもないことを割と高いテンション、かつ早口でぺらぺらぺらぺら喋ってるので、普段、生きてて、すぐ疲れる。
もうほんとに、独りでいるときはず~~~~っと喋ってるからな。
情けない男です。
こないだも、電子レンジのピーッという音だけで「うるさい。ピーピー言うな。2分で温めたのはオレやねんから、2分後に温め終わることぐらい分かっとるわ。いちいちピーピーゆうて知らせる必要あるか? 情報過多や。余計なお世話。老婆心ならぬレンジ心。あっあっ…。電子レンジの中にオレンジ入れて『次はオレンジレンジの皆さんです』って紹介するギャグ思いついた。おもんな。劇的におもんな。家電と音楽のコラボレーション。以心電信ならぬ以心レンチンゆうて。おもんな。今度ビックカメラでやったろかな。おもっきり業績下がるやろな。でもこのギャグってすでに誰かやってんのかな? あとで調べよ。すでに誰か思いついてんのかな。既成作品やろか? 忘れんようにせな。絶対調べよ」みたいな独り言を呟いてたからね。

独り言というよりデッサンやな。
もはや独り言ですらない。言葉の意味や内容はどうでもよくて、ただ「目の前で起きた現象」や「今この瞬間に思ったこと」を言葉でスケッチする癖、だから…通称 独り言がすごいのよ。それは映画評にも反映されてると思うわ。煎じ詰めれば、オレの映画評って“批評を突き詰めた果ての独り言”やからな。ありがとう。
でもここ1~2年、輪をかけて独り言が増した実感があるのよね。以前までは一人のときだけ喋ってたのに、最近は近くに人がいる状況でも所構わずべらべら喋ってまうねん。由々しいな。由々しいねん。
最近の話でいうと、帰宅途中、ただ歩くだけだとつまらないから「目にしたモノすべてに突っ込んでいく」というゲームをしながら歩いた夜道で、強面のおじさんが自販機でコーヒーを買った瞬間を目にしたの。おじさんは缶コーヒーを力一杯しゃかしゃか振ったあと、プルタブを開けて中身を飲んだ。
おれ、ゲームの規則にのっとって、ちゃんと突っ込んだ。
「おいしく頂こうとしてるっ」
わりと普通の大きさの声で言ったから、聞こえたるおじさん、こちらを睨んだ。一瞬怖かったけど、おれは声のボリュームを落として、ゲームを続けた。
「あ、振ってる振ってる! 少しでもおいしく頂こうとしてブ~ワァ~振ってる。強欲が過ぎる。せっかく120円払ろたんやから少しでもおいしく頂こうとしてブ~ワァ~振って元取ろうとしてる。セコっ。なんやこの子。そない振らんでも十分撹拌されてるやろうに、まだ振ってる。…振るために買ったんかな?」
ちょっと怖かったけど、最後まで言いきった。本当は「そんな振りたいんやったらカラオケ行ったらいいのに。無料で貸し出してるぞ、マラカス」とも言い足したかったけど、さすがに文字数が膨大を極めたんでねえ。
無事におじさんの目の前を通り過ぎたあと、半ば安堵しながら最後につけ足した。
「しかも夜やのにコーヒー飲んでるやん。わけのわからん選択」
寝る気あらへん。

これね、本当に危険なんですよ。
“人に聞こえるレベルの独り言”はトラブルになりかねん。もしあのおじさんに因縁つけられたら100パーこっちが悪いからな。因縁つけられた上に100:0でこっちが悪いっていう最悪の状況が形成されるから。切腹せな落とし前つかんレヴェルの状況が形成さるる。するる。ちゅるる。
だから皆は、独り言は、たいがいにしとき。

そんなわけで本日は『ドント・ウォーリー・ダーリン』です。



◆熱したフライパンに落とされる卵◆

 デジャヴュの経験がやけに多い。
なんなら“デジャヴュのデジャヴュ”も稀に経験する。「あれ? この風景、以前も見たぞ…って風景を以前も見たぞ」ってよ。
根拠はないが、たぶん映画の見すぎだろう。
映画とはデジャヴュの連続体である。ドアを開ける、ソファに腰をおろす、電話をとる。耳かき落とす。およそこのような日常の何気ない立居振舞の反復反復反復反復反復反復によって被写体の動態がシーンを形づくり、そのシーンの連続体がストーリーを紡ぎだす。それを何千、何万、何十万回と見続ける。そしてオレの場合、おそらく人一倍ストーリーよりも動態を見ているので(そもそもストーリーなど目に見えんものだ。ふざけるな)、“人間の営為におけるささやかな立居振舞”に対しては相当に神経過敏になっているのだと思う。
「この役者、歩き方がバカみたい」
「本のページのめくり方がいい」
「たばこの吸い方が田舎者」
「麺のすすり方がダイソン」
だもんで、日常生活でも知人・友人・通行人の立居振舞の細部をつい見てしまい、そのつど心の中で「一見すると品行方正な好青年だが、根はイラチ。セルフレジの画面殴ってそう」だとか「乳を半分出して俗語を連発してるような女だが、ああっ! その奥に隠しきれない知性と気品が顔を覗かせてこちらに微笑みかけているぅ」だとか「よく見たら泣きぼくろ描いてるぅ!! 微に入り細を穿つ! 微に入り細を穿つ!」などと看破、もしくは看破した気になって、ひとり心の中で大騒ぎしてしまう癖があるんだよな。だからデジャヴュの経験が多いのかも。すでにどこかで経験したような…と感じた「どこか」が以前に観たなんらかの映画であり、その記憶を脳が誤解してデッジャヴュ~~!

はい。
『ドント・ウォーリー・ダーリン』は、そんな“既視感”がサスペンスを醸成するSF箱庭スリラー妻映画でした。
謎の大企業・ビクトリー社が有する、ハイブロウな生活が保証された理想の街「ビクトリー」に暮らすハリー・スタイルズ(元ワン・ダイレクションのメンバー)とフローレンス・ピューの夫婦。ここは事件も事故も起きない完璧な街で、そこに住むのは絵に描いたように幸せな夫婦。家もカラフルで、さながらお菓子の箱のよう。やったじゃ~ん。ビクトリーで暮らし続ける条件は、2つのルールを守るだけ。

・妻は専業主婦となり、夫の仕事内容を知ってはいけない。
・妻は決して街の外へ出てはいけない。

これさえ守れば、あなたも世界一幸せな主婦。さあ、愛する夫といざビクトリーへ!
エブリデイ、ビューチホーライフ、ビクトリ~♪
ふざけやがってええええ!!
まるで妻たちを管理するかのような…あたかも管理社会っ……管理するかのようなああああ!!!
あたかも管理するかのごとく~~!!

ビクトリーでの暮らし(あたかも管理するかのごとく)。

 …と、まあ、ここまでの概要説明で、勘のいい観る者…通称「勘のいい者」は『ステップフォード・ワイフ』(75年) を連想しただろうが、まあ早まんなって。順々に語らせえ。
映画冒頭では、あくまでサバービアでの新婚生活が瑞々しく描かれる。
毎朝、夫のために早起きしてハムエッグを作成する妻フローレンス・ピューの、すてきなルーチン。熱したフライパンに卵を落とす。ジュウ。ハムを寝そべらす。ジュウ。その高温が愛の温度、なんつって。
その後、ピュー夫人は夫を仕事先へ送り出す。玄関から外に出ると、隣家の夫婦もまったく同じタイミングで外に出てくる。高級車に乗った夫たちに、手をわんわん振りながら「行ってらっさい、あなたー!」と妻たち。
その後、ピューは仲のいいママ友たちとイオンモールみたいなショッピングセンターに集い、謎のソファでくつろぎながら井戸端会議。
夕刻。夫のワンダイレクションが帰宅すると、手の凝った料理を用意していたピュー、「料理を食べるか? 私を食べるか!?」みたいなハムレットじみた言葉で誘惑して、結局料理を盛りつけた皿をバリンバリン床に落としながらテーブルの上でセックスするわけです。あーあー、もったいない。せっかく作った料理ぜんぶ床に落として。どないすんねんな。
…で翌朝、再びすてきなルーチン。熱したフライパンに卵を落とす。ジュウ。ハムを寝そべらす。ジュウ。その高温が愛の温度~!ゆうて。
“繰り返される幸福”ですわ。
とりわけ「熱したフライパンに落とされる卵」というモチーフは宿命的なまでに何度も何度も反復される。デジャヴュ。まるで卵がフライパンに落とされ続ける限り、この夫婦の幸福は永遠に約束されるのだ、と言わんばかりに。
ところが、だ。
そんな幸せな毎日を重ねるうち、次第にピューはある疑問を持ち始める。
「嗚呼、夢のように幸せな生活! 本当に夢のよう。…夢のよう。夢? これって本当に“現実”なの…?」
あまりにもすべてが出来すぎてないか? 完璧な夫。完璧な暮らし。完璧なセックス。完璧な料理。おまけに夫婦揃ってルックスもファッションも完璧。
そんな折、ふたつの事件が起きる。
第一の事件は、近所に暮らす妻が突然自殺したこと。死の直前にピューと出会ったその妻は、まるで気づいてはいけない何かに気づき、その何かに怯え、ピューに助けを求めるような視線を送っていた。ピューはそれを無視した。だから自殺してしまった。
第二の事件は、ピューがバスに乗っていたとき、遠くの山に飛行機が墜落して大爆発した。驚いたピュー。そのことを運転手に告げても、運転手は「街の外に出てはいけません。そういう決まりです」の一点張り。業腹のピューはバスを降り、墜落現場に向かうべく“街の外”に出てしまった。
それからというもの、ピューの日常を通してわれわれが知覚していたデジャヴュ(既視感)は、音もなくジャメヴ(未視感)へと切り替わる。ジャメヴとは「これまで見慣れていたものを初めて見たと感じる体験」のことである。
熱したフライパンに、もう卵が落とされることはない。

もうジュウすることはない。

◆『ステップフォード・ワイフ』やないか  ~デジャヴュヴュヴュ~が火をふく~◆

 むず。うーん…。ここから先はネタバレに注意せねばなりません。
や、べつに俺はネタバレタクナイ民に配慮してネタバレしないようにしてるわけじゃなくて、単に読み物として“種を明かすのは野暮”という近代文学のごとき高尚なる矜持が俺に多くを語らせないだけなんだよなぁ~~~~。あと、ネタバレしちゃうとおまえらが見ないという問題もあるし。大変なんだぜ。匙加減というか。
まあ、さっき『ステップフォード・ワイフ』の名前を出した時点でそれ自体がもうネタバレを誘発しちゃってるっていうか……ネタバレなんだけどな。

いいだろうとも、説明しよう。
『ステップフォード・ワイフ』はキャサリン・ロス主演の1975年の映画。ニューシネマ好きにキャサリン・ロスという響きは聖歌のように聴こえるだろう。俺もそうだよ! なんとなれば『卒業』(67年)『明日に向って撃て!』(69年) のヒロイン役。忘れじのニューシネマ・ヒロインだものなーッ!
さて、この『ステップフォード・ワイフ』。コネチカット州の高級住宅街、ステップフォードに越してきたK・ロスは、ぶきみなまでに家庭的な貞淑で夫に尽くすママ友たちの様子を訝っていたところ、実はこの街の男たちは「男性協会」というコミュニティに属しており、協会ぐるみで自分たちの妻を殺害しては、外見や性格がよく似た“自分好みのアンドロイド(都合のいい妻)”に造り変えていた…というオチのジェンダーSFホラー。
ちなみにニコール・キッドマン主演による同名リメイク作(ゴミ)が2004年に作られてもいるので「そっちで知ってるよ~」ってヤツの方が多いかもわからない。

75年版と04年版『ステップフォード・ワイフ』。

そして本作『ドント・ウォーリー・ダーリン』。これ言っちゃうとネタバレに拍車が掛かっちまうんだが…
なんと筋が『ステップフォード・ワイフ』とほぼ同じ。
多少の違いはあれど翻案程度。つまり誤差。
『ドント・ウォーリー・ダーリン』っていうか、実質『ステップフォード・ワイフ』の2度目のリメイクなんだよねえ!
だもんで、話を追うごとに『ステップフォード・ワイフ』と似てるなぁ、の感が増していき、しまいにゃあ「ステップフォード・ワイフやないか」ゆうて。
デッジャヴュ~~!
そういう意味でもデジャヴュだった~ゆうて。
カラカラ~笑ろて。
なんですのん、これ。

あとこれ、『トゥルーマン・ショー』(98年) にも似てるよね。保険会社に勤める冴えない男(ジム・キャリー)の生活が24時間すべて管理/監視されており、なんと本人が知らないところでリアリティ・ショー番組として世界中に生中継されていた。街も人もぜんぶ作り物。知らなかったのは当人だけでした…っていう。
だから『ステップフォード・ワイフ』『トゥルーマン・ショー』を両方知ってる観客にとっては、まさに“デジャヴュのデジャヴュ”というか。
「あれ? この『ステップフォード・ワイフ』みたいな風景、以前も見たぞ…って風景を『トゥルーマン・ショー』で以前にも見たぞ…みたいな風景をまた見てるぞぉ~?」なんだよな。
あと、お菓子の箱みたいなジオラマ風の街並みに『シザーハンズ』(90年) を想起してみたり。こうなったらもう“デジャヴュのデジャヴュのデジャヴュ”やね。

デジャヴュヴュヴュ~やね!!?

マトリョリョリョ~シカ、やね!!!!?
せやね!!?

卵の中はカラだった。

◆1/2の純情なパズルの感情◆

 斯様に、プロットだけに目を向ければ『ステップフォード・ワイフ』を真似してバック・ステップ(後退)しただけの糞っ垂れ下位互換だが、映画術の面ではダントツに勝っている。
正味『ステップフォード・ワイフ』『トゥルーマン・ショー』もプロットの切り口が斬新だったから名作扱いされてるだけのことであって、映画としては凡の凡の凡。
翻って本作。徐々に“何か”に気づき始めるピューの違和感を、フラッシュバックなのかフラッシュフォワードか、それさえ示唆せぬ短いイメージ・ショットという名のジャブで観客を翻弄し、まるでリンチの『ブルーベルベット』(86年) のように日常を侵食する非日常(シュルレアリスム)をリンチよりも丁寧に重ね描きしていく辛抱強さ。ましてや“デジャヴュとしてのハムエッグ”を繰り返して尚、だ。
あるいは、ビクトリー社の創設者であるクリス・パインが浮かべる軽佻浮薄な笑み。これはアンソニー・パーキンスやエドワード・ノートンなどが得意な“人を騙すときの卑しい笑み”だ。そして、その笑みを撮り逃さない貪欲なカメラ。
思い返せば、夫役がワンダイレクションだったことにも膝を打つ。ある程度までは知的な相貌でありながら、ある程度からはバカ以下にも映る絶妙な貌つき。

そして主演のフローレンス・ピューは、とにかく走る。野蛮なまでに走る。
これがすばらしい。おもわず「遮二無二」という言葉を斯くも鮮烈に体現した銀幕女優の全力疾走の映画史的記憶の最奥に息づくハワード・ホークス作『ヒズ・ガール・フライデー』(40年) におけるロザリンド・ラッセルを彷彿…というより復権…でもなく現代に蘇生させたかのような“社会からの逸脱をも辞さぬ女の走り方”が、ひいては「女」や「妻」や「母」というペルソナの意識的剥離をも表象しているようで、やれフェミニズムだポリコレだ…、昨今流行りのご大層なテエマを千の言葉で語るより饒舌に、観る者の瞳に訴えかけた。
ああ、なるほど。これが現代版にアップデートされた“映像言語”とやらなのか。なんて新体験をオレはしたんだ。ともすると現代映画は“ここ”から変わっていくのかな、とさえ思った。それほどまでに、ピューが一歩また一歩と地面を踏みしめたその足裏、否、その土踏まずには、かつて“映画を駆けた女優たち”の疾駆の歴史がザクザクと刻み込まれていた。
そんな気がしてならないわけさ。

ピュー!

そして、物語終盤で幸福郊外ビクトリーのすべてが絵解きされると同時に『ドント・ウォーリー・ダーリン』というタイトルに込められた真の意味がわかる仕組み。完璧なパズルだ。
妻が夫に対して「ドント・ウォーリー」なのか。あるいは夫から妻への「ドント・ウォーリー」だったのか。
どちらの向きでも嵌まるピース。タイトルの捉え方の“向き”ひとつで物語解釈が逆さ絵のように反転する、2分の1のスリル。

2分の1のパズル!

うんにゃ!

1/2の純情なパズルの感情!

観る者は思わず、指先でパズルピースを摘まみ、手首をくりくりさせながらこのように逡巡するだろう。
「どの向きで嵌めよっかなー!!」

やかましわ。

果たして二人は幸せになれるのかなれないのかなれるのかなれないのかなれないのかなれないのか?

気づけば、こんなにも褒めてしまいました。
オレは本作を「いい映画」とか「傑作」という言葉ではなく「ちゃんと分かってる怜悧な作品」というニュアンスで評価したい。やっぱり、ちゃんと分かっていたね。
「やっぱり」
そう。
本作の監督は、以前『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(19年) 評でさんざ褒めちぎったオリヴィア・ワイルドだ。本職女優。本作にもピューの友人のママ友役で出演してる。
半ば勘。半ば勘で『ブックスマート』は大袈裟に褒めた。あえてな。なにしろ本職女優にしてはあまりに非凡な監督デビュー作だったからだ。

「初監督作でこの域か」

「たった一本の映画を通して、撮り手がドクンドクンと成長していくさまを感じた」


「この女は撮れば撮るほど強くなるタイプと見た。今すぐ女優業やめて監督一本でいってくれ。
ジョディ・フォスター殺せるぞ、これ

「~うれしい追記~
ちょうど来週、オリヴィア・ワイルドの監督2作目『ドント・ウォーリー・ダーリン』が日本公開されるっていうんだ! 狂気と不思議に満ちたユートピア・スリラーなんだって!!!
なんやそれ。


そう書き連ねての最新作『ドント・ウォーリー・ダーリン』の、この出来栄え。
素直にオリヴィア・ワイルドを祝福したい気持ち半分、勘で予言したことが当たってた安堵感半分といったところよ実際。よかったぁ。沽券に関わりすぎた~。
自慢やないけど、映画勘だけはええねんオレ。ほんまにほんまに。記憶力は悪いし、口も汚いけど、勘だけはええのよ。
そんなわけでオリヴィア・ワイルドよ。この調子で行ってくれ。すばらしい成績だ。ジョディ・フォスター、すでに殺してるぞ!
監督業に転身した元女優という共通点では、主演作『フランシス・ハ』(12年) でヌーヴェルヴァーグの生霊を成仏させたあと、監督作『レディ・バード』(17年) を10's青春映画の金字塔へと押し上げつつも、その後フェミ路線に走ったグレタ・ガーウィグが見事に凡庸化した寂しさを埋めるがごとく突如『ブックスマート』を撮りだしたオリヴィア・ワイルドに、私は張ってますよ。

監督/助演のオリヴィア・ワイルド(左)。

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