シネマ一刀両断

面白い映画は手放しに褒めちぎり、くだらない映画はメタメタにけなす! 歯に衣着せぬハートフル本音映画評!

2019年ひとりアカデミー賞 第二部

ご機嫌さまー、第二部やよ。

正直、第一部で生命エネルギーという生命エネルギーをほぼほぼ使い果たしてクテンクテンになっておる私が洟垂らしてカフェラテ飲みながらぼやぼやと夕陽を打ち眺めております。

この9年間、大晦日を楽しい気持ちで過ごしたことがない。なぜって?

こんなことやってるからだよ。

きみは12月下旬をくそブログのどうでもいい記事に捧げられるかい? その覚悟はあるかい? 僕にはあるね。かれこれ9年も、この自己満足のサグラダファミリアみたいな記事を心身ゲソゲソになりながら書いているんだ!

そりゃあ本物のサグラダファミリアはいいさ。完成を心待ちにしてる人たちが世界中に大勢いるんだからね。対して私が鋭意建設中のサグラダファミリアはどうか。

作業員1名(おれ)、観光客数0名、差し入れしてくれる人0名、図面紛失、足場ガタガタ、完成と同時に取り壊し予定。

だが私は負けない。是が非でもこの無意味な記事を新年までに完成させるんだ。

うおおー、俺の中のガウディが騒いどる!!

それでは後半部、参ります。

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【ベスト魂ぷるぷる賞】

『サンダーボルト』(74年)

『パシフィック・リム』(13年)

『デス・ハント』(81年)

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今年、最も我が魂をぷるぷるさせたのはマイケル・チミノの『サンダーボルト』という驚くべき結果に。半分発狂しながら絶賛した『パシフィック・リム』を押さえてのキング・オブ・ぷるるの称号がチミの手に。

若き友の亡骸を乗せてハイウェイをひた走るクリントの表情は、巨大な喪失感を抱えて明日を見失った当時のアメリカ人の顔そのものだっただろうという自分で書いた美文にも思わずぷるる。手前味噌だが映画本編より私の文章の方が魂ぷるりする。

そんなわけでベスト魂ぷるぷる賞は『サンダーボルト』を立派に批評した私に捧げられます。

選考者である私が受賞するという驚くべき結果に。どうもおめでとうございました。ありがとうございます。やはり今年の「ひとりアカデミー賞」は波乱続きだ。魔物がいやがる。

 

 ??? 「あい待った!」

ふかづめ「むっ」

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坊ちゃん「先ほどから読んでましたが目に余るひどさです」

インタ純「溝口ノミネート権剥奪事件、みのる・イワン永久追放事件、「受賞者はヨ」、魂ぷるぷる賞の独占…など数々の不祥事」

   キャサリン  「よってここからは私達3人が持ち回りで各部門にコメントしていくわよ~~」

ふかづめ「なにこの茶番」

 キャサリン 「ふかづめを危険人物に認定した私たちは衛星による14日間の監視を発表したのだわよ!!」

ふかづめ「そっか。じゃあ勝手におやり」

 

 

【掘り出し物賞】

『希望の灯り』(18年) 

『マグダラのマリア』(18年)

『インスタント・ファミリー』(18年)

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みんな震えてるか? インタ純だよ。掘り出し物賞は『希望の灯り』に授与されたぜ

たしかこの映画はコメント欄やブクマコメントで「メモメモ…」とか言ってる奴が多かった作品だな。やなぎやさんに至っては「あ、これ絶対私が好きなやつだ!」とか勝手なことを言っていた。それにふかづめの奴、通りすがりさんのコメントを無視してやがるな。コメント貰ったら返信しろよ。

ま、それだけ多くの奴らに興味の灯りをともした作品というわけか。震えるんだぜ…。

 

それはそうと、「掘り出し物賞」というのは書いて字の如く掘らなきゃ出てこない作品のことなんだ。『希望の灯り』のように良い作品と巡り合いたいなら自分の方から掘らなきゃあならない。出会いというのは農業なんだ。人は誰しも心の中に田んぼを持っている。田を耕すことで心を豊かにしていくんだ。畜産もいいだろう。人は誰しも心の中に家畜を飼っているからな。妬みとか。

すまん、オレの本分は訊くことであって語ることじゃないからこんな話しかできない。 『マグダラのマリア』『インスタント・ファミリー』もいい作品らしいからチェックしてみてくれ。

ちなみにオレは映画など観ない。ドラマ派だ。ドラマの方が長いからそれだけ楽しさが持続するだろ? この話をふかづめにしたら「ぎゃあ」と言って逃げていったんだぜ。口程にもない奴だ。

 

 

【色んな意味でヤバい賞】

『私は二歳』(62年)

『ワイルド・パーティー』(70年)

『心中天綱島』(69年)

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元気100パーセント坊ちゃんです。よろしくお願いします!

たしかに『私は二歳』は色んな意味でヤバい映画だと思います。ふかづめさんも書いてましたけど、赤ちゃん視点から命の成長を描いた作品なのに親の怠慢とかばばあの死とかよくわからない描写が多くて、どことなく陰々滅々というか、薄ら寒い感じがするんですよ。ホラーや宗教が混じったような不気味さであります。

かと思えばラストシーンの月にばばあの顔をコラージュするという一撃必殺のギャグを放つあたり…このセンスはちょっとヤバいですね。まともな情緒で撮れる作品ではありません。 『ワイルド・パーティー』『心中天綱島』も大概イカれた作品ですけど、もうね…イカれの格が違う。もう僕こわい!

話は変わりますが、『シネ刀』にお越しの皆さま、運営者に代わってお礼申し上げます。こんなサグラダファミリアですが、僕たちは精一杯やってます。もうじき2019年も終わりを迎えますが、2020年が皆さまにとって「ちょっといいじゃん」と思える年でありますように。星に願いをかけて。坊ちゃん。

 

 

【ベスト動物賞】

パイラ人 『宇宙人東京に現わる』(56年)

ワンダム 『デス・ハント』(81年)

ブルース・リーが墓場で食ってた何かの丸焼き 『ドラゴン怒りの鉄拳』(71年)

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ハーイ、キャサリンだわよ~。いつまでこんな記事読んでるの!?

ていうかアタシが受け持った「ベスト動物賞」がどうにもならなくて困ってる。

パイラ人とかワンダムとか、アタシ全然知らないんだけど。なにこれ。

ブルース・リーが墓場で食ってた何かの丸焼きがノミネートしちゃったの?

え…どういう意味。 映画観てないからマジで何のこっちゃ全然わかんないわ。何を競ってるのよ、この部門。

まぁ、パイラ人は『宇宙人東京に現わる』ってタイトルからして宇宙人なんだと想像がつくわ。次にワンダムだけど…これは犬化したガンダムみたいなことよね。

問題は「ブルース・リーが墓場で食ってた何かの丸焼き」なんだけど、これにはお手上げ。何の丸焼きかすら分からないんだから。なんでブルース・リーはよく分からないものを丸焼きにするのよ(そしてなぜそれを墓場で食べちゃうのよ)。

まぁ、とにかくパイラ人が受賞したと…。

なんだか分かんないけどパイラ人すごいわね。

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ブルース・リーが墓場で食ってた何かの丸焼き。

 

 

【ハードアクション賞】

『スタークラッシュ』(78年)

『青空娘』(57年)

『マッドライダー』(83年)

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ようやく復帰でしました。ふかづめです。あいつらは「帰れ!」って言ったらきゃあきゃあ言いながら逃げていきました。口程にもない奴らめ。

えらいもんでCG過剰の映画が年々退屈になってきた。私は子供の頃から現在に至るまでアクション映画が大好きだが、ともすればデジタル映像が「スクリーンに息づく身体運動」を奪い始めた21世紀以降のアクション映画には鑑賞中に居眠りしてしまうモノが多い。

『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(17年)を半分ほど観たあたりで「で、いつ映画が始まるの…?」という名言を残して熟睡を遂げたエピソードはあまりに有名。

たとえば、アニメはアニメーションであることが自己目的化しているが、CGは手段であって目的にはなり得ない。そこを履き違えた映画は眠るに限る。

そこでこの部門だが、今年は数多のアクション映画を観てきたので、そのなかで最も血沸き肉躍るハードアクションを決めようと思い、新部門を設けてみた。生身の肉体と豊かな身体運動を讃える部門と思って頂ければよい!

『スタークラッシュ』は見事だったなー。気の抜けたシバき合いとまったく足の上がらないキックの応酬。子供も騙せないSFXとスクリーン・プロセスのしょぼくれ具合。それでも必死で動き回る役者たち。まったく涙が出ます。

また『青空娘』におけるキャワオ・ロックや『マッドライダー』でのサーチ&デストロイなど、記憶に残るハードアクションが充実した一年だった。

それではノミネート作品のハードアクションを振り返ってみましょう。

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生身の肉体と豊かな身体運動

 

 

【殺しすぎで賞】

岩下志麻 『この子の七つのお祝いに』(82年)

バンボロ 『バーニング』(81年)

ケビン・こなすー 『クリミナル 2つの記憶を持つ男』(15年)

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各演技賞でナリを潜めていた志麻ちゃんがここへきてバンボロとこなすーを下し「殺しすぎで賞」に輝いていくぅー。 どうなんだこれ!

キル数ではバンボロとこなすーの方が上だが、志麻ちゃんの殺しには華と情念がある。殺しの質が違うわけだな。彼女はカンナ棒を振り回して頸動脈をすっぱ切る戦闘スタイルを好むが、これは植木バサミで人をちょん切ろうとするバンボロよりよっぽど優雅で美しい。

だってそうでしょう。最小の動きで血飛沫をあげる。これはすぐれて日本映画的な…というより時代劇的な様式美なのである。

これがケビン・こなすーのような外国人になるといけない。さんざ暴れ回り、走り回った挙句、いかにも残酷、いかにも大仰なやり口で仇役を殺してしまう。平気で首をへし折ったり、頭蓋を砕いたり、しまいには機銃にまで手を出す始末。それはそれで爽快なのだが、そればかりに傾斜してしまうから「アクション映画は低俗だ」と思われてしまうのだ。日本の剣戟映画も欧米の筋肉映画も根は同じなのに、人は黒澤明の『用心棒』(61年)にエンターテイメントを超えた格式を見るでしょう?

結論として「日本の殺人は美しい」ということと「岩下志麻は美しい」ということが同時に言えると思います。

まぁ、志麻ちゃんは『極妻』シリーズでよく銃を乱射しているけれど。

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【ベスト期待外れ賞】

『キラー・エリート』(75年)

『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』(18年)

『タリーと私の秘密の時間』(18年)

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この言葉は一生言い続けていくつもりだが…期待を裏切る作品が悪いのではなく勝手に期待した方がバカなのだ。

たしかに『キラー・エリート』はとんだポンコツ映画で心底ガッカリしたが、そのガッカリの根底には「サム・ペキンパーだからさぞかし好い出来なのだろう」という勝手な期待が私サイドにあった。こうなると映画の問題ではなく私自身の問題になってくる。勝手に期待して勝手にガッカリした私の独り相撲だ。はっけよい…虚しさだけが残った!

あ、そうそう。こないだビデオ屋でクリオネみたいな顔した女が連れの男に「この映画、泣けると思ったら全然泣けなかった」といった論調でその映画をボロカスに酷評していて「むちゃくちゃ言うとるやんけ」と思ったものだ。

泣けるはずと期待したのはお前の勝手だし、泣けなかったのもお前の勝手だろ!

それはクリオネの問題であって映画の問題ではない。「泣けなかった」を繰り返すことで映画を叩いてるつもりなのだろうが、おまえが暗闇で振り回す木刀はどこにも当たっていない。お生憎さま、おまえさんは暗闇に取り残されたスイカ割りのプレイヤーなのだよ! 

 

 

【ベスト監督賞】

増村保造 『赤い天使』(66年)

マイケル・マン 『マイアミ・バイス』(06年)

ホン・サンス 『それから』(17年)

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溝口健二は出場権を剥奪されているのでノミネートから除外しております。溝口アパルトヘイトがすごい。

それにしても今年は増村イヤーだった。のめり込んだなー。

数々の資料や書物を渉猟するうち『映画監督 増村保造の世界〈映像のマエストロ〉』なる本に辿り着き、めくって吃驚、読んで吃驚。その博聞強記にして薫香な論理に裏打ちされた映画論は、さながら矢尻に塗り込んだ毒のごとき殺傷力。立て板に水を流したような語りは読む者に反論・反感の隙を与えず、日本的情緒を唾棄し、離乳食のようなメロドラマを一笑に付し、高度経済成長期の日本社会をブッ叩く。小津も黒澤も木下もボコボコ!

増村保造とは日本映画神話に盾突く悪童である(神話というのは理詰めで喝破されるといとも容易く崩壊するのだ)。

受賞には至らなかったが「マンは青い」というパワーワードを引き出したマイケル・マンと「恋なんてそんなもんサンス」というマジカルワードを引き出したホン・サンスが恨めしそうな目で私を見つめております。見んな。

 

 

【A級戦犯死刑確定ベスト!】

10位『劇場版ポケットモンスター キミに決めた!』(17年)

 9位  『摩天楼はバラ色に』(86年)

 8位 『キラー・エリート』(75年)

 7位 『ニュー・シネマ・パラダイス 完全版』(89年)

 6位 『31年目の夫婦げんか』(12年) 

 5位 『ポリス・ストーリー REBORN』(17年) 

 4位 『クリード 炎の宿敵』(18年)

 3位 『ヴェノム』(18年)

 2位 『ウトヤ島、7月22日』(18年)

 1位 『ルイスと不思議の時計』(18年) 

 

たしかに私は怒りっぽい性格だけど、なんだかんだ言いつつ当ブログでガチギレしたことは一度もない。毒舌まみれの酷評回を楽しみにしてくれてる読者も一部いるようだが、もとより毒舌というのはエンターテイメント、すなわち声を荒らげてキレればキレるほど本当は怒っていないという逆説に辿り着くのである(俗にいうキレ芸)。

そこでこのランキング。1~3位までの作品はほとんどキレておりません。本当に怒っているからです。真の酷評というのは罵詈雑言など使わない。能面みたいな顔で淡々と瑕疵をあげつらうのみザッツオールなのである。

『ルイスと不思議の時計』は受け手も作り手も「こりゃダメだ」と感じながらも一応最後まで観る・作るという事務的な身振りで両者ともに時間を空費しただけの映画の水死体、『ウトヤ島、7月22日』は結局のところ技法をこじらせた映画が一番有害だということを証明した墓穴的愚作『ヴェノム』は「しょせんアメコミ映画」という偏見を助長し、ほかの良心的なアメコミ映画のイメージさえ貶めかねない傍迷惑な映画だったと思います。

来年はどんなヒドい映画が観れるのか、今から楽しみでーす(棒読み)。

 

 

【2019年シネマライフの総括】

今年のシネマライフ…というかブログ運営はかなり好き勝手なことができた。なんというか、去年より一回りも二回りもふてぶてしくなった気がする。

旧作映画多め、ズル休み多め、昭和キネマ特集、スター撤去、コメント返信の遅れ、もしくは無視、リクエスト対応の遅れ、もしくは無視、前書きに対する苛立ちの表明、キャサリンの登場、泥酔記事、手抜き記事、時間稼ぎ記事の量産。

また、キャサリン回を読んだ人から「このブロガー薬物やってるの?」と疑われたこともありました。

あかんではないか。

完全に気が緩んでいる。これが「2年目の慣れ」か。なまじ要領を掴んだことで初心のハングリーを忘れ、ただ不遜なだけの失礼ぶっこきボーイと化してしまったぁー。

だが私はいまの運営方針を改めるほど気の利いたブロガーではない。なぜなら映画を観て語ること以外のあらゆる物事に対して興味がないからです。

仮にいまの運営方針が原因でPVが落ちるなら落ちればいいし、一部の読者が不快になるなら不快になればいいと思う。それに関しては、ごめん知らん、興味がない。

私はただ映画を観てぎゃんぎゃん吠えたいだけのシネマの犬じゃけえのう。「静かにおし」と言っても犬にはムダだわ。人間の言葉が分からんからなぁ。

そんなわけで、何も成長しないまま『シネマ一刀両断』は3年目を迎えます。来年の目標は「来年の内に目標を決めること」です。

あと『ひとりアカデミー賞』つってんのに5人ぐらい居たよね。もう体すら成してないのか、この企画。

 

スペシャルサンクス

元気100%坊ちゃん

インタビュアー純

キャサリン・キャサリン・ランデブー

みのる・イワン